昨今、新卒採用は「売り手市場」が続いている。そのような中、学生の入社意欲を上げるために企業はどのようなやり取りをすべきか。HRソリューションを提供するリクルートマネジメントソリューションズ(東京都港区)が調査を実施した。
新卒で入社した企業について、内定獲得時に入社意欲が高かった人のうち、就職活動開始時から志望度が高かった人(A群)は全体の47.1%を占めた。一方、当初は志望度が低かったものの、内定獲得後に入社意欲が向上した人(B群)は27.5%、志望度・入社意欲が共に中低群のままだった人(C群)は22.7%となった。
A〜Cの3群ごとに、採用プロセスに関する項目に対して、どの程度影響を与えたかを分析した結果、A群とB群では各項目の平均値に有意な差は見られなかった。
一方、B群とC群を比較すると、「面接などの接点で、温かく迎えてくれた」「面接などの接点で、話したいことを話せた」「採用活動における各種のやり取り(合否連絡など)が手際よく迅速だった」「面接などの接点で、自分のことを掘り下げて、よく理解しようとしてくれた」といった項目で、B群の評価がC群を上回る傾向が確認された。
入社意欲向上には学生と接点を多く持つことや採用プロセスの手続きを適切に行うことに加え、学生との対話を引き出すようなやり取りが重要であることがうかがえる結果に。同社は「企業への印象や入社意欲は固定的なものではなく、さまざまな人との接点や経験を通じて変化すると言える」とコメントした。
内定受諾時点のキャリア選択について、「自分の進路は主体的に決定している」と回答した人は68.8%に上った。一方で、「仕事を通じて自分のやりたいことがはっきりしている」とした人は54.7%となった。入社に対しては納得しているものの、自分がやりたいことや将来の道筋が明確かどうかについては、まだ五分五分である現状が浮き彫りとなった。
入社後の状態について「勤続意向」「心身共に健康的に働いている」「組織コミットメント(目的・愛着)」「適応感」「キャリア自律」「自律的・主体的に仕事をしている」の6つの指標で区分し、キャリア選択への納得感の得点群別に集計した。その結果、キャリア選択への納得感が高い群の方が、いずれの指標でもポイントが高い結果となった。
特に高・低群で得点差が大きいのは「勤続意向」「心身共に健康的に働いている」「組織コミットメント(目的・愛着)」となった。キャリア選択への納得感は、本人の適応感のみならず組織への定着を促進することが明らかになった。
「入社企業への理解度」「入社企業での働くイメージ」「入社企業への信頼感」「入社企業への期待」の4観点について尺度化し、それらの高・中・低群別に、キャリア選択への納得感を集計した。その結果、どの観点においても高群が突出してキャリアへの納得感が高い結果となった。内定受諾時点で働くことへの理解度が高いことや、入社企業への信頼や期待が高いことが、キャリア選択への納得感を引き出していると考えられる。
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