不動産業界のDX推進において活用するAI技術や先端技術との親和性、活用方法やその効果、将来性などについて、アットホームラボ代表取締役社長の大武義隆氏が解説する。
一目で物件の基本情報を伝えることができる「間取り図」は、不動産会社や住まいを探すユーザーにとって非常に重要なツールの一つです。本連載の第4回「『間取り図×AI』で進化する物件情報 顧客、不動産会社へのメリットとは?」でも、その重要性を詳しく取り上げました。
今回は、間取り図の作成にフォーカスをあて、そのプロセスにおいてどのようにAIが活用できるのか、間取り図の作成におけるDXは可能なのかを、アットホームの事例を交えながら解説します。
アットホームラボ株式会社 代表取締役社長
アットホームに入社後、営業職・企画職などに従事。
2019年5月にアットホームのAI開発・データ分析部門より独立発足したアットホームラボにて、テクノロジー部門を統括し、不動産分野の課題解決に適したさまざまなAIモデルの企画を担当。23年4月より代表取締役社長に就任。
間取り図は住まい探しにおいて非常に重要な要素です。間取り図を見るだけで、各部屋の大きさや配置、部屋間の距離や動線、収納スペースの大きさなどさまざまな情報を読み取ることができます。
そのため、間取り図に注力する不動産会社は多く、一般的な間取り図のほかにも手書き風や立体的に見せる3Dなど、不動産会社によってテイストやデザイン、色使いなどが異なり、間取り図一つ一つに不動産会社のオリジナリティーを感じることができます。
また、間取り図は専用のソフトやアプリを使って作成されることが多く、基本的には一つずつ手作業です。
アットホームでは創業以来、物件情報を1枚のシートに集約した物件図面を配布するサービスを提供しており、そのサービスの一環として物件図面に欠かせない間取り図の作成を行っています。現在では約100人のスタッフが、年間約5万件もの間取り図を作成しています。
アットホームは長年にわたり間取り図作成を手掛けてきた経験から、正確で見やすい間取り図を描くためのノウハウを蓄積しています。例えば、壁の厚さや「リビング」「キッチン」などの文字の位置、色の配置などです。こうしたノウハウを生かすため、一般的な間取り図作成ソフトを使うのではなく、1988年に専用のソフトを独自に開発しました。
一方で、間取り図作成には課題もあります。
顧客からは納期短縮やコスト削減のニーズが多く、短期間で納品する会社や海外で作成することで安価な間取り図を提供する会社なども増えてきました。それに対して、アットホームでは常にQCD=「Quality(品質)」「Cost(コスト)」「Delivery(納期)」を意識しながら作成を進めています。
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