吉野家はなぜ、「カレー」と「から揚げ」の専門店を始めるのか?マーケティング戦略を考察する(3/4 ページ)

» 2024年12月18日 08時00分 公開
[金森努ITmedia]

バリューチェーンの共有で効率よく成長

 吉野家HDの新業態開始の背景を、バリューチェーンの観点から見てみたい。

 「価値連鎖」の意味を持つバリューチェーンとは、企業における各事業活動を、価値創造のための一連の流れとして捉える考え方だ。

 企業の事業活動は、原材料調達から販売に至るまで多岐にわたり、それぞれの事業活動がきちんとその役割や機能を果たすことで価値を創造している。

 吉野家HDは、特に「調達」の部分をグループ全体で共有することで、新業態の事業を効率よく成長させられる可能性がある。

 例えば、牛丼チェーンで構築した仕入れルートや大量調達のノウハウを新業態にも適用することで、牛丼用の牛肉をカレーにも活用できるなど、コスト効率を高めることができる。

3つの新業態は吉野家HDの新たな収益の柱となるか

 また、人材教育やマニュアル化をグループ企業全体で行うことで、オペレーションの効率化とサービス品質の均一化を実現できる。

 スタッフの採用からトレーニングまでを一元化し、多様な業態でも同水準のサービスを提供できる体制を構築することができるのだ。

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