アウトソースは会社がもうかるからこそ実行するはずだ。しかし、この「もうかる」基準は明らかになっているだろうか。単価が決まっていて簡単に計算できるようになっていれば、もうかっているかどうかは判断できる。しかし、支払い基準が大くくりになっていると実態がよく分からなくなる場合があるので注意が必要だ。
工場内物流をアウトソースすることを考えてみよう。生産ラインへの供給作業は定型作業であり単価を決めやすい。したがって、生産台数が分かれば支払い金額は容易に把握できるだろう。
一方で、当初想定していなかった業務の委託が発生したとする。例えば、容器が不足した時に臨時荷姿を作成し、後で正規容器への詰め替えを行う作業が必要になったとしよう。工場内物流をアウトソースしていればこういった突発例外作業は委託先に依頼したくなるケースが多い。そこでこの業務の実施を委託する。
ではその業務単価について、緊急対応が求められる状況下でじっくりと交渉できるだろうか? 急ぎなので相手の言い値で支払ってしまうようなことはないだろうか? 加えて、会社の容器の絶対数が不足しているとこのような作業が恒常化してしまうこともある。
つまり言い値で支払い続けることが長期化してしまうこともありうるのだ。このケースに限らず、アウトソースを丸投げしているとだんだんと自社では業務内容が分からなくなってくる。業務の「ブラックボックス化」である。そうなるとお金を払って実施してもらっている「その作業」が妥当かどうかさえ判断がつかなくなる危険性があるのだ。アウトソースに絡むこのような可能性には十分注意してほしい。
もし今アウトソースを実施しているのであれば、どこかのタイミングでぜひ見直しを実施しよう。その見直しとは、発注業務の見直し、価格の見直し、発注先の見直しなどさまざまである。丸投げの状態で今まで見直しを実施していないとすると余分な支払いが発生している可能性もある。
発注業務と支払金額をつき合わせしてみるだけでコスト削減のアイテムが見つかるかもしれない。また可能性としてではあるが、長期間取引を続けていると委託先と自社の特定担当者との癒着などコンプライアンス上の問題も懸念される。そこで時間を作ってでも見直しを実施することをお勧めしたい。
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