スポーツカーに未来はあるのか “走りの刺激”を伝え続ける方法高根英幸 「クルマのミライ」(4/5 ページ)

» 2024年12月20日 06時00分 公開
[高根英幸ITmedia]

マツダ・ロードスター、現行モデルの大きな価値

 マツダ・ロードスターは日本が誇るスポーツカーの一つで、世界中にファンがいる人気車種である。現行モデルは4代目で、登場したのは2015年であるから、すでに9年目を迎える長寿車種とも言える。

 それでも現在の主査(開発を主幹するエンジニア)である齋藤茂樹氏は、電池の開発が進み重量負担が少なくなるまで、現行のNDロードスターを作り続けたいと明言している。つまり、次世代のロードスターはハイブリッド化が免れないため、今のロードスターを超えることは難しいのである。

 もちろん主査の主観であり、そういった計画を決めるのは経営陣ではあるが、今のロードスターがどれだけ価値あるクルマかが伝わってくる発言だ。

2024年初めに大掛かりなマイナーチェンジを受けたマツダ・ロードスター。電装系を一新し安全装備を充実化させたが、重量増は最小限に抑えた

 一方でトヨタの取り組みも面白い。同社はかつては5チャンネルあるディーラー網でそれぞれ専売車種を設定して、高い国内販売シェアを維持してきた。マークII三兄弟をはじめとした兄弟車でバリエーションを増やし、幅広いニーズに対応してきたのだ。

 それを覆したのがプリウスのヒットだった。正確にはプリウスをヒットさせ、それを遅延なく納車しメンテナンスするために、全チャンネル販売を英断したのだ。それによって3代目プリウスは未曽有のヒット作となった。結果、各チャンネル専売の根拠も薄れたのである。

 そこから時間を経て専売制を撤廃し、今では全車種販売を繰り広げている。その一方で「GRガレージ」という従来のディーラーとは異なる拠点も展開している。

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