ハードウェア関連では、端末内で処理が完結するオンデバイス型のAIの利用を想定したPCにも注目しておきたい。2024年は、AI処理に特化したプロセッサーであるNPUを搭載した「AI PC」や、AIPCのなかでも一定のスペックを満たしたものが該当する「Copilot+ PC」を冠した製品を各メーカーが続々と発売した。
Copilot+ PC向けにMicrosoftがリリースした機能のなかでも、操作画面の画像を自動保存して後から検索できるようにする「リコール」機能はとくに注目を集めた。現在は先行プレビュー版が提供されている段階で、懸念されているセキュリティ面の課題や業務での使い勝手が見えてくるのは来年以降になりそうだが、端末の買い換えにともなって普及が進む可能性が高い機能だけに実用性に期待したい。
今年後半になり、各社から続々と登場したのが業務用のAIエージェントサービスだ。Microsoftは10月、Microsoft 365 Copilotを利用した自律型エージェントを発表。さまざまな業務プロセスを支援するためのエージェントを簡単に作成できるものだ。また、Googleは12月に、企業内のデータに基づいたタスクの実行や意志決定をサポートする「AI Agent Space」を発表している。
セールスフォースは、カスタマーサービスなどに利用できるAIエージェントとして「Agentforce」を10月にリリース。Slackにも導入でき、社内のSlackにAIエージェントが参加し、業務のサポートを行うことが可能になる。
そしてOpenAIも、2025年にAIエージェント「Operator」を発表するとされており、自律的に動いて業務を支援するAIが今後の新たな潮流となりそうだ。
この1年でさまざまなアプリケーションやサービスに生成AIが搭載・統合され、ビジネスで活用するための環境が一気に整った。2025年からはいよいよ、本格的な「生成AI普及期」に入るだろう。
一方で、ツールの選択肢が増えたからこそ、どれを使うべきかの選定が悩ましくなっている面もある。どんなに優れた道具を手に入れても、それが目的に合ったものでなければ、結局使われずに終わってしまう。そのため、「AIを使って何がしたいか」を明確にし、それに合ったものを選ぶことがより重要になってくる。
そして、生成AIは各社が競い合うように進化を続けている。今はできないことが来週には容易にできるようになっているかもしれない。一度知識を得ただけで安心せず、常にアップデートを続けることも、AIが当たり前に使われる時代を生き延びるためには不可欠となるはずだ。
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