アイデアが浮かばない、こんな無駄な作業なくしたい――。ビジネスパーソンを悩ませる日々のさまざまな困りごと、ChatGPTに聞いてみませんか? ITジャーナリストの酒井麻里子氏がプロンプトの書き方を伝授する。
Q.自分で書いた文章の誤字や内容のチェックにAIを使っていますが、精度がいまひとつです。精度を上げるコツはありますか?
自分の文章をAIに手直ししてもらいたいとき、単に「この文章をチェックしてください」と指示するだけでは、思うような結果が出ないことも多い。今回は、基本的な使い方ながら意外と一筋縄ではいかない文章の校正やチェックについて、プロンプトのコツを紹介しよう。
ITジャーナリスト/ライター。生成AIやXR、メタバースなどの新しいテクノロジーを中心に取材。その他、技術解説やスマホ・ガジェットなどのレビューも。著書に『趣味のChatGPT』(理工図書)、『先読み!IT×ビジネス講座ChatGPT』(共著・インプレス)など。Yahoo!ニュース公式コメンテーター。株式会社ウレルブン代表。XRと最新テクノロジーのWEBマガジン「TechComm-R」運営。
「この文章をチェックして」「よくない箇所を指摘して」のような雑なプロンプトを使用した場合、修正の不要な箇所に指摘が入ったり、逆に指摘してほしい箇所が見逃されたりしがちだ。精度を上げるためには、どこをチェックしてほしいのか、チェックが不要な部分はどこなのかをできるだけ具体的に記載する必要がある。
まずは指摘が不要な事項を<注意点>として挙げよう。注意点に記載する項目を洗い出すには、一度あえて「この文章をチェックして」のようなシンプルなプロンプトを入れてみるとよい。
例えば、本連載の過去の原稿を使って試したケースでは、「だ・である調」で書いている文章が「です・ます調」に修正されたり、意図的に使っている体言止めが適切でないと指摘されたりと、“余計なお世話”が多数出力された。そういった不要なものを箇条書きでまとめればよい。
続いて、チェックを行いたい箇所を記載する。おすすめは「文法」「表現」「内容」「読み手視点」の4つの方向からのチェックだ。早速プロンプトをみていこう。
【プロンプト】
このドキュメントは、テクノロジーについての解説コラムです。以下の<注意点>を守ったうえで、<チェック事項>の内容を指摘してください。
<注意点>
<チェック事項>
1.文法の誤りの指摘(文法)
2.日本語として不自然な箇所や、読みづらい箇所の指摘(表現)
3.事実誤認や、誤解を招く可能性の高い箇所の指摘(内容)
4.読者にとって、不足していると感じる情報の補足(読み手視点)
すると以下のように、4つのチェック事項それぞれについて、修正が必要な理由や、どのように修正すればいいのかが具体的に出力される。
【回答】
ドキュメントを精査した上で、チェック事項に沿って以下の点を指摘いたします。
1.文法の誤り
文法的な誤りはほとんど見当たりませんでした。ただし、一部の箇所で接続詞の繰り返しがあり、冗長に感じられる表現がありました。
2.日本語として不自然な箇所や、読みづらい箇所
3.事実誤認や、誤解を招く可能性の高い箇所
4.読者にとって、不足していると感じる情報の補足
以上の点を踏まえると、より読みやすく、情報価値の高い内容に仕上がります。
あとは指摘された箇所を確認し、修正が必要だと感じたものを反映すればよい。もちろん、全ての指摘をそのまま採用できるとは限らない。中には修正することで文意が変わってしまうケースもあるので、AIの“言いなり”になるのではなく、必ず自分で判断したうえで対応しよう。
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