従来のWeb検索の代用として使うことを想定したAI検索ツールの進化も2024年の大きなトピックだろう。検索に特化したAIツールとしては、Perplexityが従来からサービスを提供してきたが、その競合となるようなツールが続々と登場した。
6月にベータ版の提供を開始した「Genspark」は、検索結果の出力後にファクトチェックを行う機能などを備え、詳細なリサーチに強みをもつ。また、日本発の「Felo」は、リサーチ結果をもとにスライドを生成できる機能が用意されているなど、先行サービスと差別化できる特徴を備えている。
そしてChatGPTも、10月末に検索機能を刷新。当初はやや使いづらい面もあったが、リリースからわずか1カ月半後の12月にはユーザーの声を反映した機能のアップデートが行われた。
Googleは、検索結果の上部にAI要約を表示する「AI Overviews」が精度の低さで不評を買うなど、検索へのAI活用の面では遅れをとっていたが、12月になってWebの情報を調べてレポートとしてまとめる「Deep Research」をリリース。詳細なリサーチに使う位置づけのものとなるためGoogle検索がそのまま置き換えられることはなさそうだが、情報源として引用するサイトの数が多く、信憑(しんぴょう)性の高いサイトをしっかり引用してくる印象だ。
Webで調べものをするときに使えるツールの選択肢が一気に広がったことで、情報収集のあり方が今後大きく変わっていきそうだ。
テキストに加えて画像や音声にも対応できるマルチモーダル化も今年のトレンド。なかでも音声による対話機能の進化は、日常でのAIとのつき合い方を変えていきそうだ。
5月にOpenAIがデモを公開した「高度な音声モード」は、タイムラグの少ないスムーズな受け答えで大きな注目を集めた。夏頃から順次提供が開始され、現在は無料ユーザーも利用可能になっている。さらに12月には、カメラの映像について会話できる機能の提供も始まった。
Geminiも、同様に音声で会話できる「Gemini Live」の提供をスマホアプリ向けに開始。日本では10月から利用可能になっている。こちらもタイムラグの少ないスムーズな会話が可能だ。
そして、これらの音声機能は、スマホアシスタントとの統合も進められている。Androidでは今秋から、従来のGoogleアシスタントに代わってGeminiを選べるようになった。また、iPhoneでは、Siriに質問をしたときに内容に応じてChatGPTを使って回答する機能が英語ユーザー向けに提供開始されている。
テキストを入力するのが億劫(おっくう)でも、話しかけるだけなら気軽に利用できる。入力に苦手意識をもつシニア層も、従来の音声アシスタントと同じ感覚で使えるサービスなら自然と活用するようになるだろう。音声対話機能は、生成AIのユーザー層を広げることに貢献しそうだ。
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