「自分の街の心霊スポットを売り出すなんて、そんなの住民が反対するので、できるわけがない」という声が聞こえてきそうだが、それはごもっともである。ただ、だからこそ「ブルーオーシャン」になっていることも分かっていただきたい。
日本ではこういう「廃墟活用」には安全性、住民とのトラブル、倫理的な問題などから否定的な声が多い。リスクを恐れる自治体は基本的に検討すらしない。ということは裏を返せば、「競合」はほぼいないので、この一線を踏み越えれば「大きなチャンス」になるかもしれないということだ。
しかも、これは日本のためになる。自国民がどんどん消える国で「内需」を維持するには、外国人観光客の消費に頼るしかない。
そこで課題となるのが「観光公害」だが、これはマナーだなんだという精神論では解消できないので、「ゾーニング」しかない。有名観光地に集中している外国人観光客を、日本全国に「分散」するように誘導するのだ。
そんな新たな観光スポットに、「ゴーストタウン化が進む自治体」はうってつけである。
これまで見てきたように、廃墟ツーリズムや心霊ツーリズムというのは海外では確立していることに加えて、いま「日本の村」は心霊コンテンツとしての価値が上がっているからだ。
映画『呪怨』などで海外でも「Jホラー」は高い評価を得たが、それが近年再び注目されているのが「村シリーズ」だ。『犬鳴村』『樹海村』『牛首村』など、都市伝説で語られる「山深いところにある村」を舞台にしたホラー映画が続いており、中には海外で公開されているものもある。
日本の観光スポットといえば以前は浅草や京都、富士山が定番スポットだったが、近年は外国人観光客の関心も多様化。長野県の野沢温泉村、白馬村、群馬県の嬬恋村(つまごいむら)など「村」に向かっている。
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