コンプライアンス室への情報共有がなされなかった件について、「コンプライアンス室に伝えるとそこから話が漏れてしまうのではないか?」という不信感が招いた結果だという見方もあります。
大前提として、コンプライアンス室や社員からの相談ごとを受ける機会が多い人事などの部署は、情報管理を徹底する必要があります。事前に基本的な情報の扱い方についてルールを作成し、それに基づいて運用するようにしましょう。また、センシティブな相談もある中、相談者の意思を尊重しながら、情報共有範囲を柔軟に限定すべき場合もあるでしょう。
相談を受けた部署は、相談者の意思を尊重しながら対応していく必要があります。従って、トラブルの当事者として名前が挙がっている者に対してヒアリングするのは構わないか、トラブルを見聞きした可能性のある周囲の者に対してヒアリングするのはどうか、ヒアリングにあたって相談者が被害を訴えている事実を伝えてもよいか――、相談者側の意思を丁寧に確認するようにしましょう。
現状、情報が洩れるのではないかという不安から、コンプライアンス室や人事に対して、相談をすることを躊躇(ちゅうちょ)してしまう人がいることも事実です。
中立な相談・調査担当者を配置し、地道に「情報管理の徹底」「相談者の意思の尊重」という対応を積み重ねていく中で、従業員からの信頼を得ることが一番だと思います。
もちろん、相談者の秘密を守ることや、意思を尊重して対応することを、従業員に向けて積極的に発信していくことも大切ですが、発信だけで中身が伴わないと、「相談したらバレた」というウワサが広まり、相談しにくい雰囲気が広まってしまいます。
第三者委員会による調査結果を待ち、調査結果によって今後の動きは変わってくるでしょう。
(1)中居氏とのトラブルに、会社が関与していたかどうか、(2)トラブル把握後の対応に問題があったかどうか、(3)会社の風土として、いわゆる性接待・性の上納、人権軽視といった文化があったのかどうか――という3点が問題となっています。調査の結果「問題があった」と評価された点について、第三者委員会の示した再発防止策も参考にしながら、フジテレビとして再発防止策を策定することになると思います。
また、問題と評価された点について関与していた担当者が注意や処分を受ける可能性もあるでしょう。
大株主から日枝取締役相談役の辞任要求がなされるなど、日枝氏の進退にも注目が集まっています。フジテレビ側の説明によると、日枝氏は(1)(2)には関わっていないということであり、(3)フジテレビの企業文化になんらかの問題があったのか、その問題に日枝氏の影響があったのかどうかにより、今後の動きが変わってくるように思います。
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