そこで、筆者は読解力と、他者の視点に立って考える心の習慣についての説明をした。
コミュニケーション絡みのトラブルでは、
「なんで反発するんだ。何か不満でもあるんだろうか?」
「どうしてあんな意地悪を言うんだろう。怒らせるようなことを言ったかなあ?」
「なんで感情的になるんだろう。嫌われてるのかな?」
などと訝(いぶか)ってしまうこともあるはずだ。でも、とくに思い浮かぶようなことがない場合は、単にこっちの言うことが理解できないだけ、こっちの意図がきちんと伝わっていないだけであって、不満があるわけでも意地悪を言っているわけでもなく、嫌われているわけでもなかったりする。
読解力が不足しているため、こっちの言うことがよく分からず、おかしな反応をしてしまうのだ。正当な要求をしているのに、こっちの言い分をうまく理解できないため、訳の分からないことを言ってくると思い、いちゃもんをつけられているような気になり、感情的になってしまう。相手は決してクレームをつけているわけではないのに、クレームをつけられたと思い込んでしまうのである。
このようなケースでは読解力を身につけてもらう必要がある。
そのためには、読書などを通して読解力を磨いていくしかない。基本的な国語の参考書などで文章の読解の練習をするのもよいだろう。本を読むようにアドバイスするだけでなく、読書の時間や読解の時間を研修として取り入れるのもよいだろう。
そうした国語力を高めるという方向の対処に加えて、視点取得を促すのも効果的である。
視点取得というのは、他者の視点を自分の中に取り込むことを指す。相手の言い分をうまく理解できない場合や、コミュニケーション上のトラブルが目立つ場合、この視点取得ができていないことが多い。相手の視点からはどのように見えるのかを想像できず、自分の視点からしかものを言えないため、分かり合えず、トラブルになってしまうのだ。
人は誰でも幼いうちは自分の視点しか持っていない。知的能力の発達には、語彙数の増加や文法構造の習得だけでなく、認知の発達全般が関係してくる。なかでも重要なのが、自己中心性からの脱却である。
部下から「給料を上げてください」と言われたら、上司のあなたはどう返す?
「お前はどうしたい?」しか言わない上司の自己満足 「考えさせる風」コミュニケーションが招く悲劇
部下が相談する気をなくす、上司の無神経な「たった一言」
「自責思考を持て」という“無敵論法”の危うさ 素直な若手ほど潰れるワケ
“残念な上司”が作る「会議資料」の特徴 ムダをなくす3つの改善策はCopyright © ITmedia, Inc. All Rights Reserved.
Special
PR注目記事ランキング