この記事は、博報堂が運営する“生活者データ・ドリブン”マーケティング通信が2024年12月4日に掲載した「〈マーケティングシステム・イニシアティブ〉の挑戦【連載第4回】──LINEを活用したマーケティングを次のステップに!LINE活用3.0でCXを高度化」に、編集を加えて転載したものです(無断転載禁止)。
博報堂DYグループには、グループ内6社、計500人のメンバーからなるマーケティングシステムの専門家集団「マーケティングシステム・イニシアティブ」(以下、MSI)が存在します。
今回はこの巨大ユニットの活動の中から、LINEを活用したマーケティングにスポットを当てていきます。企業のLINE活用をトータルに支援するMSI「LINE活用高度化チーム」の中心メンバーに、LINEというプラットフォームの特徴や、チームの強み、これまでの成果などについて語ってもらいました。
磯部 真吾(博報堂 コマースデザイン事業ユニット)
CRM&システムコンサルティング局
CRM推進グループ ビジネスプラニングディレクター/テクニカルディレクター
MSI LINE高度化チーム チームリーダー
牟田 悠希(博報堂 コマースデザイン事業ユニット)
CRM&システムコンサルティング局 CRM推進グループ UXプラナー
木下 奈緒(博報堂マーケティングシステムズ)
マーケティングシステムビジネス部 ソリューションコンサルタント
──LINEをマーケティングツールとして活用する企業が年々増えています。改めて、LINEというプラットフォームの特徴を整理していただけますか。
磯部: 大きく3つの特徴があると僕たちは考えています。1つは、企業と生活者の継続的な接点になるという点です。企業のLINE公式アカウントを友だち追加してもらい、ユーザーから許諾を得ることでLINEのユーザーIDなどの情報取得ができることで、人単位で継続的なコミュニケーションの起点となります。
2つ目として、LINEミニアプリが使える点が挙げられます。LINEミニアプリとは、LINE上で駆動するWebサービスです。これによって、LINEというプラットフォームの中で企業独自のUI/UXを備えたコミュニケーションチャネルを運用できます。このチャネルでさまざまなサービスを展開し、顧客体験(CX)を向上させることで、生活者との関係をより強固にできるだけでなく、LINEミニアプリとLINE公式アカウント、さらには企業のファーストパーティデータを連携させて、個々の生活者に適した情報配信が可能になります。
LINEミニアプリについて(「Hello Friends! W!th LINEヤフー」イベント資料より転載。出展:「〈マーケティングシステム・イニシアティブ〉の挑戦【連載第4回】──LINEを活用したマーケティングを次のステップに!LINE活用3.0でCXを高度化」)磯部: 3つ目が、今後の拡張可能性です。2021年にLINE社はヤフー社と経営統合をしました。今後は、ユーザー承認を得た上で、2つのプラットフォーム間のデータ連携が進んでいくと想定されています。データ連携が実現すれば、LINEはさらに精度の高いマーケティングプラットフォームになっていくと考えられます。
木下: ポストCookie時代のマーケティングツールとしてLINEはとても有効です。LINEは生活者と常時接続しており、何気ない日々の行動をマーケティングに活用することができます。生活者との距離が非常に近く、データを取得しやすいこと。それもLINEの大きな特徴です。
牟田: もう1つ、大前提として、ユーザー数9700万人(※)という圧倒的なボリュームが特徴として挙げられます。あらゆる層に対してアプローチできるプラットフォームと言っていいと思います。
※:2024年3月時点
──MSIは、「LINE活用3.0」という考え方を提唱しています。これはどのような考え方なのですか。
磯部: LINEのサービスがスタートしたのは2011年でした。その後急速にユーザー数が増えた2012年から2016年くらいまでの時期のLINEを活用したマーケティングを、僕たちは「LINE活用1.0」と捉えています。LINEはこの時期に、企業が数千万人規模の「友だち」に対して一斉にメッセージ配信ができるほどのマスチャネルに成長しました。
続く「LINE活用2.0」は、LINEがアプリケーション・プログラミング・インターフェース(API)を公開したことによって、企業がLINEのデータを活用できるようになった時期に該当します。これによって、メッセージのセグメント配信が可能になりました。2020年には LINEミニアプリの活用がスタートしています。
さらに現在は、LINEミニアプリで生活者のさまざまなニーズにこたえるサービスを開発し、そこで得たデータをもとに精度の高い1to1のメッセージ配信が可能になっています。この段階を僕たちは「LINE活用3.0」と呼んでいます。
なお、LINEミニアプリは飲食店やサロンなどで導入が進んでいますが、最近さまざまな企業様からも引き合いが増え、エンタープライズ市場にもLINE活用3.0の波がきていると実感しています。
LINEを活用したマーケティングの変遷(出展:「〈マーケティングシステム・イニシアティブ〉の挑戦【連載第4回】──LINEを活用したマーケティングを次のステップに!LINE活用3.0でCXを高度化」)牟田: 「LINE活用3.0」の段階における生活者とのコミュニケーションは、メッセージ配信だけではなく、LINEミニアプリを活用した「体験型」に進化しています。場合によっては90日間くらいに及ぶコミュニケーションシナリオをつくり、個々の生活者と企業の関係性や、LINE内で生活者のアクションに応じて最適なコンテンツを配信し、よりリッチなCXを提供するといったケースも出てきています。
──MSIにおける「LINEを活用した高度化チーム」の活動についてお聞かせください。
磯部: クライアント企業がLINEを生活者の接点として活用することをトータルに支援するのが、このチームのミッションです。LINEミニアプリ上のサービス開発を中心にLINE公式アカウントも含めてトータルで支援することで、LINEを起点としたカスタマージャーニーやCXを最適化するだけでなく、他のメディアやチャネルと組み合わせた顧客関係性マネジメント(CRM)の戦略を組み立てていくことを得意としています。
──今や各社がLINE活用に取り組んでいます。MSIのLINEを活用した支援の独自性はどのような点にあるのでしょうか。
磯部: マーケティングのプランニング力だけでなく、エンジニアリングやコンテンツ制作のノウハウがある点がMSIの強みです。LINE公式アカウントの活用だけでなく、LINEミニアプリのコンセプト立案から制作、運用、データ活用までをワンストップで支援できるチームはなかなかありません。さまざまな専門性をもったメンバーが会社の垣根を越えて集まり、一枚岩で、かつ機動的に動くことができる。その点に僕たちの最大の強みがあると考えています。
さらにLINEに限定せず、LINE外のタッチポイントも含めて生活者と企業のつながり方を考え、幅広いご提案ができることも強みだと考えています。
牟田: 1つのチームの中にさまざまなファンクションがあるので、クイックに動けるだけでなく、クライアントの課題やニーズに応じた柔軟なフォーメーションがつくれるのも、このチームの持ち味だと思います。
木下: LINE公式アカウントの運用支援だけでなく、LINEミニアプリの制作と運用支援ができることの大きなメリットは、LINEにおける生活者のアクションをトータルに把握できる点にあります。LINE公式アカウントのユーザーデータとLINEミニアプリのユーザーデータを連携させ、LINE内のユーザー行動を包括的に捉えて、それをメッセージやコンテンツ配信に活用する。それによって、コミュケーションの精度を継続的に高めていく──。そんな支援体制を私たちはつくることができます(※)。
※LINEアカウントと紐づいた行動データの取得・活用にはユーザーの許諾が必須となります
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