なぜこんなことになってしまったのかというと、メタが「ビジネスの防御」を優先しているからだ。まず、自分たちの広告ビジネスモデルをしっかりと守ったうえで、「偽広告」をどう排除していくか考えている。「ほんのひと握りの悪徳業者」のため、全体のレギュレーションをイジるなんてことは、理にかなっていないという発想なのだ。
しかし、今回の爆サイの判断はそれとは真逆だ。「ほんの一握りの悪徳業者」を排除するために全体のレギュレーションに手を付けるどころか、掲示板そのものを廃止し、これまで得られていた利益も捨てたのである。こういう決断をする組織は珍しい。
危機管理のセオリー的にも「いくら問題解決のためとはいえ、自分たちが大きなダメージを受けるような対応はするべきではない」とされている。つまり、「返り血を浴びるような改革は避けるべし」という暗黙の了解があるからだ。
でも、筆者はそうは思わない。確かにこのやり方は短期的に損失を生む。しかし、長期的な視点に立つと、大きな利益をもたらす。まず、この対応によって「爆サイの求人募集で集められた若者が高齢者宅で強盗した」というリスクはほぼゼロになる。加えて、「爆サイ.comはユーザーの安全を優先する」というメッセージを世に投げかけることができた。これはサービス企業のブランディング的にはかなり大きい。
このような話を聞くと、「いやいや、でも爆サイが求人をやめたところで、他の求人サイトに行くだけだから、闇バイト対策としてはあんま意味ないじゃん」という意見の人もいるかもしれないが、もちろん、そのあたりは爆サイも考えている。
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