サントリーホールディングス(HD)は2月14日、2024年12月期(24年1〜12月)決算を発表した。売上高は3兆4179億4900万円(前年比4.0%増)、営業利益は3289億4200万円(同3.7%増)で、いずれも過去最高を更新した。純利益は1761億5800万円(同2.0%増)となった。
飲料・食品分野では、1リットルペットボトル容器を「一人でたくさん飲みたい人」向けに細長くリニューアルした、「サントリー天然水」ブランドの売り上げ数量が伸長。「伊右衛門 徳茶」なども好調に推移している。
酒類分野では、生産能力を増強したジン「翠(SUI)」が、前年同期比16%増と伸長。ビールカテゴリーも同3%増。中でも2024年3月に業務用の瓶・樽製品に進出した「サントリー生ビール」ブランドが、同57%増を記録し、業績をけん引した。
また、2024年は米蒸留酒大手のビーム社(現:サントリーグローバルスピリッツ)を統合して10周年となる。主力ブランド「ジムビーム」は、過去最高の販売数量となった(瓶・缶・ペット計)。
買収後の経営統合を主導してきた社長の新浪剛史氏は「なかなか日本の企業で、これだけの大きな買収を成功させた例はない」と在任期間を振り返った。同氏は3月末の株主総会をもって退任する。社長職を鳥井信宏氏に譲った後は、会長として主に海外事業を取り仕切る予定だ。
2025年12月期の業績予想は、売上高が3兆5600億円(前年比4.2%増)、営業利益が3100億円(同5.8%減)。前年にコニャック事業を展開する子会社を売却したことによる反動を見込んでおり、純利益は1350億円(同23.4%減)とした。
世界的に続く原材料高や、米国が予定する関税の引き上げ措置など、市場の動向についてはどのように受け止めているのか。
経営企画本部長の宮永暢氏は、インフレによって「トータルで530億円程度の利益圧迫を見込んでいる」とコメント。特にコーヒー豆やオレンジの価格高騰による、飲料・食品分野への影響が大きいという。米国の関税引き上げ措置による影響については、「値上げせざるを得ない状況も見据えている」としている。
一方で、「米国はどんどん国を閉じていく方向にあり、現地での生産・販売は有利だ」とコメント。米国での投資については継続する方針を示した。
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