クルマを購入するユーザーは、刺激を求める人と安定を求める人の2つに大別できるといっていい。ジムニーノマドが人気となったのは、価格やサイズなどは従来の枠組みに収まりながら、新しい刺激が得られそうな期待感があることが大きな理由だろう。
排気量やサイズを抑え、実用性や経済性も兼ね備えながら、デザインと機能によって得られるカーライフの新しい刺激を楽しみたいと思っているのだ。
一方で、燃料価格が上昇している現在、再び燃費性能への関心が高まる可能性も出てきた。近年のクルマはハイブリッドでなくても総じて燃費性能が高く、地方のクルマ通勤者でなければ年間走行距離は少ないため、燃料代の差は年間で数千円程度だった。そのため、燃費以外の要素を重視してクルマ選びをするユーザーも多かった。
しかし、レギュラーガソリンの平均価格が180円を超えてきた現在の状況では、再び燃費を気にするユーザーは増えてくるだろう。燃料への補助金を減額し始めたが、徐々に減らすのではなく一気に補助金を終了させて、ガソリン税などの暫定税率を廃止してほしいと、ほとんどの自動車ユーザーは思っているはずだ。
マツダが今年発売する新型CX-5は、独自のハイブリッド機構とデザインで注目を集めそうだ。走りにこだわった縦置きプラットフォームと、コスパも兼ね備えた横置きプラットフォームの2本立てで大型乗用車を展開していく方針のようだ。
これから先のクルマ選びは、充実した機能や性能をいかにユーザーに分かりやすく伝えるかがますます重要になっていくだろう。つまりクルマの機能を分かりやすく表示する仕組みが必要になってくるのではないか。
タイヤは、転がり抵抗とウエット性能を機能表示するようになってきた。クルマでは自動車アセスメント「JNCAP」によって安全性能を点数や星の数で評価しているが、クルマの性能や機能の充実ぶりをさらに評価できないだろうか。
これは自社による評価では参考になり難いから、公的機関など第三者による評価によるラベリングが必要だろう。燃費、先進運転支援システム、乗り心地、操縦安定性……クルマの評価項目はたくさんあるが、全てを数値化すれば、重要視している項目がユーザーによって異なっても参考になるはずだ。
そして、自分の使い方や好みに合ったクルマを選択しやすくなる。それでも、想定された使い方を超える楽しみ方を考え出す、少数派のクルマ好きも出現するだろう。
芝浦工業大学機械工学部卒。日本自動車ジャーナリスト協会(AJAJ)会員。これまで自動車雑誌数誌でメインライターを務め、テスターとして公道やサーキットでの試乗、レース参戦を経験。現在は日経Automotive、モーターファンイラストレーテッド、クラシックミニマガジンなど自動車雑誌のほか、Web媒体ではベストカーWeb、日経X TECH、ITmedia ビジネスオンライン、ビジネス+IT、MONOist、Responseなどに寄稿中。著書に「エコカー技術の最前線」(SBクリエイティブ社刊)、「メカニズム基礎講座パワートレーン編」(日経BP社刊)などがある。近著は「きちんと知りたい! 電気自動車用パワーユニットの必須知識」(日刊工業新聞社刊)、「ロードバイクの素材と構造の進化」(グランプリ出版刊)。
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