優れたプラットフォームを作り、それを活用することで何種類もの「いいクルマ」を量産できる。プラットフォームは優れたクルマを安く作る近道と思われてきた。自動車メーカーによって考え方は異なるが、何サイズかプラットフォームを作り、カテゴリーの異なるボディを取り付ける。
その結果、安全性や快適性が高まり、走行性能も従来と比べると向上しているクルマが増えている。しかし、クルマの価格は上昇し、国産車でも300万〜400万円台が普通の価格帯になりつつある。
この30年、平均所得は上昇していないのにクルマの価格をはじめとする耐久消費財の価格は上昇を続け、国産車でも1000万円近い価格を掲げる高級車も珍しくなくなった。
日産がつまずいたのは、このプラットフォームの構築だったのではないか、と最近感じる。そもそもプラットフォーム構造をいち早く取り入れたメーカーであるが、それゆえ自由な発想のクルマ開発ができず、ラインアップが集約されすぎてしまったとも思えるのだ。
いいクルマとは、筆者のような自動車ジャーナリストが試乗して高く評価するクルマではなく、「売れるクルマ」であることが重要だ。一般のユーザーに理解されない機能や性能、品質などは、結局オーバークオリティとなって、コストを上昇させるだけの要素になってしまうこともある。
おそらく、このあたりのコスト管理が最もうまいのはスズキだろう。軽自動車は高くなったとはいえ、それは普通車と並ぶほどの快適性や機能性を盛り込んでいるからで、シンプルな装備のアルトやエブリイは120万円前後から用意されている。
ワンボックスタイプのエブリイは、軽貨物車として宅配便などの配送業に利用されるだけでなく、維持費が安くスペース効率が高いクルマとして車中泊やアウトドアに利用するオーナーも増えている。
軽トラックも今ではカラフルで装備も充実し、リクライニングシートと広めのキャビンを備えるモデルも増えている。それを個性的にカスタムして乗り回すことを楽しむ層など、従来にはなかったクルマの楽しみ方が広がっている感がある。
2024年秋に発売したクーペSUVのフロンクスについても販売は好調なようだ。ライバルとなるヤリスクロスやライズなどと比べると、高級感を感じさせる内外装なども人気の理由らしい。
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