自動車メーカー向けの機器を開発・製造している大手メーカーで、最年少の生産部長だったM氏はある日、上流の開発部門まで担当する本部長に抜擢された。
M氏はそれまで、「なぜ?」を5回繰り返すことで生産現場の問題を次々と解決し、会社に大きな利益をもたらす逸材として全社の期待を集めてきた。M氏のおかげで生産現場では毎日のようにカイゼンが進んでいたが、開発部門は手付かずでビジネスのボトルネックになっていた。
100年に1度の変革期と言われる自動車業界の競争は激しい。よりよいクルマを開発しようと、仕様は最後の最後までコロコロ変わり、開発には柔軟な対応が求められる。
しかも、電動化が急速に進む中、開発の仕事は増えるばかり。
だが、リソースを増やそうにも、世の中の技術者不足は深刻で、優秀な人材はライバルに引き抜かれ、その補充すらままならない状況である。
限られたリソースで開発期間のさらなる短縮を求められるため、開発部門の残業は全社でダントツの長さ。「不夜城」というありがたくない異名をつけられるようになった。
1つのプロジェクトが遅れると、その対応のために他のプロジェクトから人材が投入される。すると、人を抜かれたプロジェクトも遅れるようになり、開発予算は大幅に超過。「開発爆発」とも呼ばれる状態になり、全社の経営を圧迫していた。
7割が「課長」になれない中で、5年後も食っていける人物
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