前出の涌井氏も「農業を家業から産業に転換すべき」と主張して、以下のように輸出の重要性を主張している。
「日本の農業がいま成り立たなくなろうとしているわけよね。今こそ大量に大増産して余計なものは輸出していく。そして国内の需給は安定させていく」(ABS秋田放送 2月20日)
だが、減反政策を50年以上も続けてきた日本では、このような考えは少数派であり「異端」だ。筆者も記事で米の輸出の重要性を唱えたところ、農業関係者から「こいつ頭がおかしいのか?」「農業をなめるな」と痛烈なお叱りを頂戴している。
米輸出拡大に否定的な方たちの主張として、まず米は保管や品質保持が難しくて輸出に向かないという。また、海外で流通しているのはインディカ米(日本でいうタイ米)なので、日本のジャポニカ米などを輸出したところで、誰も見向きをしないとの意見もある。
世界を見渡せば、インド、タイ、ベトナムなどが米の輸出国として知られ産業化に成功しているが、残念ながら日本の農業にはそんな競争力はない、という農業関係者が非常に多いのだ。
確かに、2024年の日本の米輸出量は約4万5000トンにとどまっている。日本人が「まずい」「国に合わない」と何かと“下”に見がちなタイ米を輸出しているタイの2024年の米輸出量は900万トン以上だ。日本米の輸出など夢物語だと嘲笑する人の気持ちもよく分かる。
しかし、日本にやってきた外国人観光客が、日本のコメを「うまい」と言ってこれだけ食べているのも事実だ。国が後押しして需要を拡大していけば、勝負できるのではないか。また、涌井氏が取り組んでいるように「パックごはん」のような加工品にして輸出する手もあるのではないか。
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