日本ではあまり馴染みがないが、海外では政治家や企業が自分に有利な情報操作を行うことを「スピンコントロール」と呼ぶ。企業戦略には実はこの「スピン」という視点が欠かすことができない。
本連載では、私たちが普段何気なく接している経済情報、企業のプロモーション、PRにいったいどのような狙いがあり、緻密な戦略があるのかという「スピン」をひも解いていきたい。
今、自然豊かな農村地帯に中国人や東南アジア系のグループがいるのを見かけたら、きっとこんな風に感じる人も多いのではないか。
「おいおい、もしかして転売するために、農家のコメを買い占めに来た連中じゃないの?」
マスコミでは連日のように「コメ高騰の犯人」が中国人転売ヤーだとして、鬼の首を取ったかのように報じているからだ。例えば、2月18日放送の『Live News イット!』(フジテレビ系)では、中国人向けのSNSで日本の米を転売する投稿が相次いでいるとして、日本の農家から米300キロを買ったという中国人女性を直撃している。
2月16日の『グッド!モーニング』(テレビ朝日系)でも、千葉県の農家がインタビューに応じて、横浜中華街で売るために600キロのコメを買おうとした中国人がいたことを明かした。同日の『真相報道バンキシャ!』(日本テレビ系)でも、新潟の米生産者の元に外国人から「いくらでもいいから買う」との連絡があったと報じた。対応した人によれば「チャイナ系だと思います」とのことだ。
このような報道を受けて、SNS上で「転売を防ぐ制度をつくらないとマネーゲームにされてしまう」「国がコメの管理をしないと中国人に買い占められるぞ!」という意見もたくさんある。
ただ、個人的にはこのような「コメ高騰は中国人転売ヤーのせい」報道にはかなり違和感を覚えている。
コロナ禍で「医療崩壊は繁華街で飲み歩いている若者のせい」ということが盛んに報じられたが、あれとまるっきり同じ構造のように感じる。つまり、国の政策ミスを誤魔化すために、社会が憎悪を向けやすい人々を「スケープゴート」にしているのだ。
なぜ筆者がそう感じるのか、順を追ってご説明しよう。
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