くら寿司が2024年11月16日から開始した新サービス「プレゼントシステム」が好調だ。同サービスは回転レーンでホールケーキなどを運ぶ仕組み。東京7店舗、大阪3店舗の計10店舗でスタートし、現在は68店舗に拡大した。
プレゼントシステムでは、パレードのような音楽に合わせて、輝く装飾が施された特別メニューが回転レーンを流れていく。特別メニューの横にはパネルが設置されており、注文者のテーブルに近づくと「おめでとう」または「ありがとう」のメッセージが表示される。特別メニューは中身が見えない抗菌寿司カバーに入っており、注文者のテーブルに到着すると「注目!」という音声とともにフタが自動で開く仕組みだ。
プレゼントシステムには、専用の特別メニューを用意している。「季節のフルーツケーキ」「特撰ばらちらし」(各1000円)、「季節のフルーツプリンアラモード」(800円)の3種類で、さまざまなお祝いに対応できるラインアップをそろえた。事前予約は不要で、テーブルのタッチパネルかスマートフォンからその場で注文できる。スマートフォンで注文すれば相手に知られず、サプライズ演出も可能だ。
くら寿司がプレゼントシステムを導入した背景には、物価高による節約意識から、外食を控える傾向が強まっていることが挙げられる。都心部の店舗はインバウンド需要で好調な一方、地方の店舗はその影響を受けにくく、客足が伸び悩んでいた。そのため、新たな顧客を呼び込む施策が求められていた。そこで着目したのが、お客が「どういう場面で寿司を食べるか」だった。
ぐるなびの調査によると、ハレの日に外食したいメニュー1位は寿司だった。また、回答者の約半数が3カ月に1回は、ハレの日のための外食をしていることが分かった。くら寿司の強みである「回転レーンで“リアルに回す”」ことを生かし、ハレの日向けの特別な新サービスとして、プレゼントシステムを導入した。
くら寿司広報部の辻明宏氏によると、プレゼントシステムには好意的な声が多く寄せられているという。中でも「子どもが喜びそう」「子どものお祝い事の時にやってあげたい」など、子どもに関する声が多いそうだ。こうした傾向は売れ行きにも表れており、辻氏は「商圏の人口構成により売り上げが大きく異なっており、特に地方は子どもが多い地域の店舗が好調です」(辻氏)と話す。
プレゼントシステムを開始した当初、「今春には全国展開を目指す」としていたが、現在は慎重な姿勢を見せる。「プレゼントシステムで提供する特別メニューは800〜1000円と、回転寿司としては高価格帯の商品です。加えて、売れ行きには商圏の人口構成も影響することが分かってきました。無理に全国展開するのではなく、店舗ごとのニーズを見極めながら慎重に進めていきたいと考えています」(辻氏)
お祝いとしてだけでなく、季節ごとのイベントにも合わせた展開にも注力する方針だ。昨年のクリスマスには、流れる音楽もクリスマス仕様に変更し、「ありがとう」の代わりに「メリークリスマス」のメッセージが選べるようにした。加えて特別メニュー3種類をそれぞれ半額で提供したところ、同社の予想以上の売れ行きだったという。
春は、卒業式や入学式などイベントが多い季節だ。辻氏は「こうしたイベントや季節感をプレゼントシステムにも取り入れていきたいと考えています」と話した。
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