本連載は、国際情勢やビジネス動向を深掘り、グローバルな課題とそれが企業に与える影響を分析する。米中関係やテクノロジー業界の変動、地政学的リスクに焦点を当て、複雑な要素を多角的に捉えながら、現代社会の重要な問題を分析。読者にとって成功への洞察を提供していく。
中国の電気自動車メーカーである比亜迪(BYD)の乗用車販売台数が世界で好調だ。
報道によれば、BYDは2024年、世界で427万台を販売。これは前年比約41.2%の増加になる。中国国外での販売台数は41万7000台で、グローバル販売の大部分が中国国内での販売ということになる。国内で好調な理由は、政府が販売支援として下取りキャンペーンを行っているからだと指摘されている。
そんな好調なBYDだが、セキュリティの観点から非常に気になる話も出てきている。最近発表されて話題になった中国製AI「DeepSeek(ディープシーク)」を、BYDが導入して、自動車に搭載すると報じられているのだ。自動運転などにも使われるといわれており、そうなるとクルマに搭載された多数のカメラなどのデータも取り込み、中国に送られて記録されることになる。DeepSeekは中国企業が開発したAIモデルで、中国政府の管轄の下で運営されている。
さらに韓国当局が、DeepSeekと、動画アプリ「TikTok」を運営する中国企業バイトダンスがデータのやりとりをしていることを確認したと明らかにしている。TikTokもDeepSeekに近づいているようだ。
最近、中国のテクノロジー系企業が、欧米政府による使用禁止措置などで排除されていることもあって、どんどんお互いに結びつきを強めている。このままいけば、中国系IT企業がより強固に結びつき、一大デジタルプラットフォームを形成する可能性もある。
そして日本企業がこれらの技術をよく分からないまま導入すると、他の中国系企業のサービスに飲み込まれてしまう懸念がある。世界的に存在感を強めている中国系企業が、特にデータセキュリティの面でどのようなリスクを抱えているのか、最新情報をもとに考察してみたい。
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