若者を中心に世界で人気が高いTikTokも、Temuと同じように広範囲で、登録情報からデバイス情報、位置情報まで、個人情報を収集している。中国企業のバイトダンスが所有するTikTokには、中国政府当局がユーザーデータにアクセスしているという疑惑が常にある。だからこそ米国やカナダ、英国、オーストラリア、フランス、ベルギー、オランダなどは政府関係者などの使用を禁止し、インドは国全体でTikTokの利用を禁止している。国家安全保障や監視に関する懸念が生じているからだ。
またバイトダンスが中国を拠点としていることから、国家情報法の下で中国政府にデータを共有することが懸念されている。さらに、TikTokはアルゴリズムが不透明であるため、誤情報やプロパガンダが拡散されるリスクがあり、政府などが政治的影響力を行使できる可能性があると指摘されている。
加えて、過去にバイトダンスの社員が、TikTokユーザーだったジャーナリスト2人のデータにアクセスしていたことが判明して問題になっている。要は、バイトダンスがTikTokのユーザーデータに自由にアクセスできることが明らかになっているのだ。
では、DeepSeekはどうか。利用規約に中国の管轄下で運営していると書かれているDeepSeekは、登録情報などのユーザーデータが中国のサーバに送られて、記録される。さらに政府関係機関にもデータが送られるとも書かれているため、中国政府内でデータが共有されるリスクがある。最悪の場合、データが第三者の手に渡り、サイバー攻撃などに悪用されることにも警戒しておく必要があるだろう。機密情報を含むユーザーの入力データがAIのトレーニングに使われるので、意図しないデータ漏洩が起こるかもしれない。使用には注意が必要だ。
ここまで見てきた通り、中国製アプリは安価で手軽に使えるが、リスクも伴う。これらのプラットフォームに共通するのは、膨大なデータ収集に伴う漏洩や悪用のリスク、透明性の不足、外国政府にアクセスされてしまうリスクがあることだ。
利用する際には、ユーザー自身や企業、公的機関などが自己防衛することが必要だ。アプリの許可設定を厳しく管理し、個人情報の共有を最小限に抑える。利用規約やプライバシーポリシーも読んでみることをおすすめする。
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