今回取り上げるのは、世界的に存在感があるTikTok、DeepSeek、電子商取引サイト「Temu(テム)」だ。これらに見られる特徴は、他の世界的な中国企業にも共通するが、激安または無料でサービスを展開し、広くユーザーを取り込もうとしていることだ。とにかく、膨大なユーザーのデータを収集していることも共通している。
まずTemuは、氏名や住所、支払い情報、閲覧履歴、購入パターン、位置情報、さらには生体認証データなど、広範囲にわたる個人情報を集める。こうした情報は、悪用、漏洩、不正アクセスのリスクにさらされる可能性があるとされている。特に韓国ではTemu側がユーザーデータを海外に転送し、第三者に提供していると批判が出ている。
さらに、2024年10月に米有力シンクタンクCSIS(戦略国際問題研究所)が発表した報告にはこう書かれている。
「このアプリは、最も基本的なレベルで、まるでデジタル版のダニか寄生虫のようにコード化されており、削除するのは極めて困難です。ユーザーのスマホやデバイスがアプリのホストとなり、そこに含まれる情報がTemuの生命線となります。そもそもデータはあらゆるEコマースやインターネットのプラットフォームで不可欠なものとなっていますが、Temuの優れたアクセス性により、ユーザーの全てのアクティビティを監視できるだけでなく、設定を変更して削除をほぼ不可能にすることもできます。アプリを削除してもTemuの動きは終わりません」
「Temuはデータの監視、管理、プロパガンダに関与する中国共産党の当局と関係があり、中国の国家情報法に基づいて中国共産党当局と協力する義務があることを考えると、中国国外で現在受けているよりもはるかに厳しい監視を受けるべきです。ユーザーのデバイスにアクセスできるTemuは、秘密裏にユーザーを監視するための非常に強力な手段であり、DDoS攻撃(分散型サービス拒否攻撃)の攻撃ツールとしてユーザーを取り込む可能性もあります」
またユーザーにとって不利な決定に誘導する手法「ダークパターン」の使用も指摘されている。これが全て事実ならとんでもないアプリだ。特にビジネスパーソンは、仕事関係の情報を扱うスマホやPCでの使用には細心の注意が必要だろう。
テレビCMを打ちまくる「Temu」は危険なのか 激安を実現するビジネスモデルとは
TikTokは存続できるのか? 米中対立が引き起こす巨大プラットフォームの試練
「LINEのセキュリティ」は大問題 TikTokと同じ道をたどるのか
「KADOKAWA」「ニコ動」へのサイバー攻撃、犯人と交渉中の暴露報道は“正しい”ことなのか
中国出張でPCは“肌身離さず”でなければいけない、なぜ?Copyright © ITmedia, Inc. All Rights Reserved.
Special
PR注目記事ランキング