日本ではあまり馴染みがないが、海外では政治家や企業が自分に有利な情報操作を行うことを「スピンコントロール」と呼ぶ。企業戦略には実はこの「スピン」という視点が欠かすことができない。
本連載では、私たちが普段何気なく接している経済情報、企業のプロモーション、PRにいったいどのような狙いがあり、緻密な戦略があるのかという「スピン」をひも解いていきたい。
「ダダすべりやろ」
「誰も行かへんよ。だっていろんな国が『もうええわ、ブース』って言って。断って。そんな不人気なこと、ニュースでも言わへんやんか。日本めっちゃ不人気やでーってなぁ」
お笑いタレントの千原せいじさんが自身のYouTubeチャンネルで、開幕まで1カ月となった「大阪・関西万博」をバッサリ切り捨てて共感を集めている。
確かに、せいじさんが言うように万博は「不人気」だ。
万博のパビリオンは3種類ある。独自デザインで自前で建てる「タイプA」、日本博覧会協会が建てた建物を賃貸する「タイプB」、複数の国でシェアする「タイプC」だ。
中でも「万博の目玉」となるのがタイプAであることは言うまでもないが、辞退する国が後を絶たなかった。当初、タイプAのパビリオンは「60カ国」を予定していたが、2割減で47カ国になる見通しだと発表。だが、大阪・関西万博の公式Webサイトに掲載されている「海外パビリオン」を見ると、まだ「43カ国」(国際赤十字・赤新月運動館も含めて)しか紹介されていない。
残念ながら、海外諸国の多くが今回の万博について「そこまで大金を投じて参加するメリットなくね?」とシラけ気味になっている、というのが容易に想像できてしまうのだ。
「不人気」は自国民にも当てはまる。日本国際博覧会協会によると、国内の前売り券の売り上げは806万枚(3月5日時点)だという。これは目標としていた1400万枚の57.6%にとどまる。
なんて話を聞くと、ミャクミャクの公式グッズを買い集め、万博会場に行くのを今から楽しみにしている方々はショックを受けるだろうが、やむを得ない部分もある。
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