政治家やそれを支えるシルバー世代がノスタルジックに浸る「大阪万博」が開催された1970年、日本人の出国者数は66万3467人だった(日本旅行業協会調べ)。海外旅行が一般的でなかった時代、ほとんどの日本人は『兼高かおる世界の旅』(TBS系)などでしか海外の生活や文化を知る術がなかったので、大阪万博の海外パビリオンは見るもの聞くもの全てが新鮮な驚きに満ちていた。
しかし、今や日本人出国者数はおよそ15倍の962万4158人(2023年)。学生だって海外旅行をする時代で、国内にいても『世界の果てまでイッテQ!』(日本テレビ系)やYouTubeなどを見れば、ジャングルから紛争地まで世界のあらゆる情報を得られる。つまり、わざわざ高いカネを払って万博のパビリオンに行かなければいけない「動機」が薄れているのだ。
「いやいや、そうは言うけれど、日本人はお祭り好きだからいざ始まってしまえばなんやかんやと盛り上がるって」という意見もあるだろう。確かに、東京2020もそうだった。開催直前まで「延期しろ」「反対!」と騒がれていたが、いざ始まってみれば手のひら返しで、「やっぱり五輪最高!」「感動をありがとう!」と大盛り上がりだった。
そういう国民性を鑑みれば、いざ開催してみれば今のムードがガラリと変わって、「やっぱり万博、最高!」「火星の石に感動した!」と大盛り上がりをしている可能性もなくはない。
ただ、万博に関わっている皆さんには大変申し訳ないのだが、日本経済を長い目で見ると、今のまま「ダダすべり」してくれていたほうが良いと個人的には考えている。
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