そこまでして政府に関わりたいマスク氏の意図はどこにあるのか。
マスク氏は、政府を操れることはビジネスをリスクにさらしてもいいほどの「権力」だと捉えているようだ。政府の無駄を排除して連邦政府を再構築することは、短期的なビジネスへの悪影響を上回るメリットがあると見ているという。
政府に関わっていることから、現在テスラやスペースXが政府と結んでいる契約が切られる危険性もある。利益相反に当たる可能性があるからだ。
一方、マスク氏が多額の投資をして、開発を進める宇宙開発や自動運転などの分野では、政府の規制緩和によって将来得られる利益は甚大になると見られる。それを見据えて、とことんトランプ政権の“太鼓持ち”に徹していくつもりだろう。ビジネス的には、トランプ大統領を担ぐことが、究極の「先行投資」というわけだ。
過去を振り返ると、企業のリーダーが政治的・社会的な発言をすると反発を招くことが多い。例えば、亀田製菓だ。2024年12月にAFP通信で配信された「インド出身の亀田製菓会長『日本はさらなる移民受け入れを』」という記事が炎上し、SNSで不買運動に発展。株価は大きく下落した。
米国では、2019年にNBAのチーム、ヒューストン・ロケッツのダリル・モレイGM(ゼネラルマネージャー)が、香港の民主化活動デモを支持するコメントを出したことで、中国のファンなどによる不買運動が起きた。2020年には、大手食品販売会社Goya Foods(ゴヤ・フーズ)のロバート・ウナヌエCEOがトランプ大統領を称賛するコメントをしたことで、不買運動に見舞われることになった。ただそうしたコメントは、彼らのビジネスに長期的な利益をもたらすものだとは言い難い。
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