なぜ企業は“遊びのプロ”に依頼するのか? ファミリー客を呼び込む「あそび場」の秘密(2/6 ページ)

» 2025年03月17日 09時50分 公開

あそび場の必要性への理解が進む

 同様の効果はさまざまな業種で見られており、2024年3月にはイオンモール今治新都市(愛媛県今治市)が「しまなみオープンパーク」を開設し、子育て支援施策と連動して、幅広い世代が交流できる場を提供している。

photo 「しまなみオープンパーク」

 2025年2月には、JRA阪神競馬場(兵庫県宝塚市)が「あそび馬!」という大型室内キッズパークを開設。子連れ専用の飲食スペースも充実させ、競馬場を地域の子育てファミリーが日常的に利用できる場へと変貌させた。

 ボートレース場でもイメージ刷新のために、あそび場を導入している。BOATRACE振興会とボーネルンドの協業による「BOAT KIDS PARKモーヴィ」は、全国9カ所のボートレース場に展開し、これまでに67万人が来場した。オンラインで舟券を購入する人が増えたことで既存の舟券売場が縮小し、その空いたスペースを活用して、防災機能も兼ね備えたあそび場を地域貢献の一環として運営している。

photo ボートレース場にも施設を展開

 そのほか、病院や温浴施設など、当初想定していなかった分野からも依頼が相次いでいる。しかし、必ずしも集客や売り上げ向上に即効性があるわけではない。日常的に出入りする人が増え、集客が安定して、ようやく売り上げに結びつく。そこに至るまでには、時間がかかるケースが多いそうだ。

 いずれの施設においても、集客がうまくいくカギは「大人の理解と我慢」だという。「子どもたちの声や動きを成長過程として許容し、遊びが子どもに必要だということを理解すれば、投資価値を感じてもらえる」と池上氏は説明する。

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