「30分間、圧迫面接のようなものでした。終わった後、激しい頭痛と嘔吐感に襲われ、トイレで吐き気が止まらなくなりました」――鈴木靴下(奈良県三宅町)の代表取締役社長・鈴木和夫氏は、約15年前の大手量販店での商談をこう振り返る。
2017年の発売から累計12万足を売り上げ、敬老の日ギフトランキング7年連続1位の「米ぬかソックス」。保湿性や消臭性、静電気防止といった機能があり、父の日や母の日の贈答品としても喜ばれている。実はこの商品が誕生するまでには、鈴木社長の苦難と執念の歴史があった。
奈良県の法隆寺から車で10分ほどの場所にある小さな町。先祖代々農業を営みながら、靴下製造も手掛ける鈴木氏が開発した「歩くぬか袋」シリーズの米ぬかソックスは、発売から約6年で累計12万足を売り上げるヒット商品となった。
この靴下の特徴は、米ぬか繊維の使用と足首を締め付けない履き心地だ。鈴木氏によれば、「繊維自体が保湿性を持ち、肌を乾燥から守る効果がある」という。また消臭機能や生地の抗酸化作用も実証済み。
さらに「静電気が起きにくく逃がしやすい」という特性もあり、冬場に気になる静電気トラブルも軽減する。発熱性については「体から出る水蒸気が熱に変わる仕組み」で、汗ではなく体から自然に出る水分を熱エネルギーに変換。加えて、生地の滑らかさも特徴の一つだという。
同シリーズの「締め付けない靴下」は1320円と一般的な靴下より高めだが、祖父母へのプレゼントとして支持され、「楽天の敬老の日ギフト」靴下部門にて7年連続ランキング1位を獲得。「お年寄りと若い世代をつなぐコミュニケーションツールにもなる」と鈴木氏は語る。
現在は会社全体の売上約5億円のうち、この商品だけで年間1億円強を売り上げる主力商品に成長。ECサイトや百貨店での販売を中心に、全国から注文が入っている。
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