結婚式場は3割が赤字なのに、なぜ「イワイオモテサンドウ」は予約が埋まるのか(2/5 ページ)

» 2025年03月30日 08時00分 公開
[小林香織ITmedia]

新郎新婦よりも「ゲスト」にフォーカス

 イワイのコンセプトである「ゲスト中心」とは、どういうことなのか。

 「分かりやすいのは式場の設計ですね。イワイは『高砂』や『テーブル装花』がありません。高砂をなくすことでゲストとの距離が縮まり、しゃべりやすくなるためです。テーブル装花も、ゲストの体験満足度を考えると必要ないだろうと」

同じテーブルに新郎新婦が座るので、「主役感」が薄れる

 新郎新婦もゲストと同じテーブルに着席する。しかも丸ではなく長方形のテーブルなので、ゲスト同士もしゃべりやすくなるという。

 披露宴といえば「派手な入場」「余興」「新婦の父からの手紙」「プロフィールムービー」「ケーキ入刀」などが行われるが、イワイではあえてなくした。ゲストと過ごす時間を増やせるため、約85%の新郎新婦が「お色直し」もしないという。その代わり、オリジナルのコンテンツで盛り上げる。

エントランスに新郎新婦からゲストへの手紙を入れる「ポスト」を設置

 まず、エントランスに「ポスト」を設置し、新郎新婦から各ゲストへ手紙を送る。到着して手紙を読んだだけで、涙するゲストも多いという。「挙式」と「披露宴」をセットで行うのは従来どおりだが、盛り上がりのピークを披露宴ではなく「挙式」にしている。

 「挙式では、誓いの前に『はなむけの言葉』と呼ぶコンテンツがあり、新郎新婦に深く関わったゲスト数名がメッセージを伝えます。前半の挙式でたっぷり感動して泣けて、披露宴はひたすら楽しい。それがイワイが推奨する体験です」

小説を読むような感覚で楽しめる「ライフストーリー」を上映

 披露宴では、プロフィールムービーの代わりに「ライフストーリー」を上映。2人の人生の物語がつづられた文字だけの動画で、小説のようなスタイルで2人の内面の声を届ける。

ケーキの代わりに、みんなで「釜飯」を食べる

 ケーキ入刀の代わりとなるのは、「釜飯」だ。「同じ釜の飯を食う」というコンセプトで新郎新婦がゲストのご飯をよそって、みんなでワイワイ食べる。

 さらに、新郎新婦がゲストを紹介する「他己紹介」や参加者全員の「ポートレート撮影」も。これらによりゲストにも焦点が当たり、ゲスト同士がつながりやすくなる。「ゲスト一人ひとりが主役である」という考えのもと、すべてのコンテンツが設計されているのだ。

Copyright © ITmedia, Inc. All Rights Reserved.

アイティメディアからのお知らせ

SaaS最新情報 by ITセレクトPR
あなたにおすすめの記事PR