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休職者の同僚に「月2万円」 KADOKAWAの新制度は3つの点で新しい

» 2025年04月01日 13時00分 公開
[小林可奈ITmedia]

 従業員が産育休や介護休暇を連続28日以上取得する場合、業務をフォローする同僚に、一律で月2万円を支給する──KADOKAWAは4月1日、そんな人事制度を導入した。

 大手企業を中心に、同様の取り組みが相次ぐ。背景には男性育休の取得率増加・長期化や、それに伴う同僚の負担増がある。

 中でもKADOKAWAの新制度は、「(1)介護による休職者も含み」「(2)一度の支給ではなく毎月」「(3)一律の額を支給する」という3つの点でユニークだ。

自社に合った制度にするため、どう検討した?

 このような制度設計にした意図とは? 注目の制度を自社に合った形に調整するため、どのように検討していったのか? 同社人事担当者の回答を、一問一答形式で紹介する。

photo.編集部撮影

制度新設のきっかけ

 制度化を決めたのには、どのようなきっかけがあったのか。男性育休の取得増などは関係しているのだろうか。また、対象を「連続28日以上の休職者」としているのは、男性社員の育休取得日数の長期化を図る意図があるのだろうか。

 会社の急速な規模拡大に伴う若手社員数の増加が一番の要因です。合わせて男性育休取得率の増加もあり、導入決定に至りました。最長28日の産後パパ育休を目安に「その日数以上を取得してほしい」という意図から条件を設定しました。

「介護も含む」意図とは?

 KADOKAWAの制度がまず特徴的なのは、「(1)介護による休職者も含む」ことだ。これまでに類似の制度を導入している三井住友海上や大和リースなどは、対象を産育休に限っていた。どのような狙いがあるのか?

 会社として休業を取得しやすい環境の推進が必要であることや、期間が読めない、もしくは期間が限定された休業で、人員補充による対応が産育休と類似する点も多く、産育休向けの制度導入と合わせて介護休業も対象とした設計としました。

一時金ではなく毎月支給する理由

 「(2)一度の支給ではなく毎月」である点も類を見ない。先行企業の事例では、ボーナスへの加算や一時金の支給という形が見られるが、こうしたケースよりも必要な原資が多くなるのではないだろうか。

 休職期間中の休職者給与が原資になり、組織の編成上、原資オーバーは想定しにくいと判断しました。

同僚に一律2万円とした根拠

 また、他社では支給額を負担割合や部署の人数などによって変動させるケースが目立つ。「(3)一律の額を支給」することにどのような意図があるのか気になるところだ。

 厳密な負担割合に応じて賞与などで一括支給する方法も検討しましたが、それ以上に早急な支給により従業員のモチベーション向上につなげたいと考えました。また、チーム内における不均衡な業務バランスの見直しの一助になることも期待しています。

人員補充は?

 手当の支給は従業員に歓迎されると考えられるが、一方で「人員の補充で対応してほしい」という声も発生するのではないだろうか。

 引き続き人員補充による対応は取っていきたいと考えています。一方で1〜2カ月程の短期休業の場合や、突発的な休業の場合は人員補充による対応が難しいケースもあり、既存社員だけでどうにかフォローしているという実態もあります。特に近年増加傾向にある男性育休に関しては短期間での休職を取得する社員も多く、介護休業においては、期間の想定が困難で一概に人員補充による対応ができないことから、今回のようにフォロー社員に対して支給する手当の検討に至りました。

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