2024年4月より、障害者の法定雇用率がそれまでの2.3%から2.5%に引き上げられた。それを達成している民間企業は46.0%と半数を割る(厚生労働省「令和6年 障害者雇用状況」)。
未達成の場合、行政指導を受けたり企業名が公表されたりすることで企業イメージが低下するリスクや、企業規模によっては納付金の負担も生じる。それでも半数以上の企業が達成できていない背景には、さまざまな困難や課題がある。
本記事では、現在生じている障害者雇用の課題を整理した上で、雇用と定着に成功している企業の事例をヒントに取り組みのポイントを示したい。
前述の統計によると、雇用される障害者の数は前年より約3万5000人、比率にして5.5%増加している。しかし、法定雇用率未達成の企業の57.6%は、障害者を1人も雇用していない。がんばって雇用を増やす企業と全く雇用できていない企業とで、二極化しているようだ。
また、未達成企業の内の64.1%は、雇用の不足数が0.5人または1人である。あと1人雇用すれば達成できるのだが、それが難しい状況にあるのだ。
未達成の企業が抱える困難として、次のようなものが考えられる。
特に初めて障害者雇用を行おうとする場合、採用の方法から学ばねばならない。採用できても、どんな仕事をしてもらうのか、どうマネジメントするのか、安全に働いてもらうためにどんな環境整備や配慮が必要かなど、必要となる知識や準備が山ほどある。
障害がある人それぞれが抱える困難に起因する働きにくさ、仕事のミスマッチ、待遇への不満などが、離職の原因となりやすい。周囲の理解不足や適切でないマネジメントの結果、職場にいづらくなるということもある。
これらの難しさも相まって、「法律があるから仕方なく」という後ろ向きな姿勢で取り組む企業も多い。その場合、法定雇用率ギリギリの人数しか雇用しようとしないだろう。それでは1人辞めれば未達成になる。
また、そのような姿勢の会社は、障害のある人にとって「働きたい」と思える魅力的な職場とは感じられにくい。余計に採用が難しくなり、採用しても定着しづらいという結果になるだろう。
障害者雇用「3%超」の先進企業、マネフォが求職者面接で必ず聞く質問とは?
障害者雇用も「ちゃんと稼ぐ」 DMMの専門組織「BC部」が黒字を実現できたワケ
日本人はなぜこれほどまでに「学ばない」のか 背景にある7つのバイアス
「プログラミング言語」は今後不要になるのか ソフトウェア開発者の業務、半分はAIで自動化可能に
「最初は嫌だった」──ミュージカル研修に入社3年目社員が真剣になる理由
「ホワイトすぎて」退職って本当? 変化する若者の仕事観
窓際でゲームざんまい……働かない高給取り「ウィンドウズ2000」が存在するワケCopyright © ITmedia, Inc. All Rights Reserved.
Special
PR注目記事ランキング