“ゆる短文”コミュニケーションしか知らない新入社員、怒る前にやるべきこと「キレイごとナシ」のマネジメント論(3/5 ページ)

» 2025年04月07日 08時00分 公開
[横山信弘ITmedia]

「体言止め」の問題点を考える

 例えば「生産性向上」というフレーズを考えてみよう。これだけでは「誰が」「何を」「どのように」向上させるのかがまったく伝わってこない。「今期のあなたの目標は?」と聞いて「生産性の向上」と答えられても、上司は戸惑うだろう。

主語がなければ、上司は混乱する

 それが「私が生産性を向上させる」という意味なのか、「何かが生産性を向上させてくれる」ということなのか判別がつかない。

 「向上させる」と「向上する」では意味が大きく異なる。「向上させる」のケースでは、生産性は目的語になるはずだ。主語が省略されているので、はっきりさせるべきだ。一方「向上する」であれば、「生産性が向上する」となるので、生産性そのものが主語になる。

 そしてもし「生産性を向上させる」という意味で表現したのなら、これは能動的な行動を指している。一方「生産性が向上する」という意味で使うなら、これは結果だ。どのようにしたら生産性が向上するのか、その根拠を示す必要があるだろう。

英語の文型を意識して話す重要性

 英語では「SVO(主語+動詞+目的語)」「SVC(主語+動詞+補語)」「SVOC(主語+動詞+目的語+補語)」といった明確な文型が存在する。日本語では文型が英語ほど厳密ではないものの、これらの構造を意識することで格段に伝わりやすくなる。

 例えば「生産性の向上」という体言止めの代わりに、英語的な文型を意識して「私は(S)生産性を(O)向上させます(V)」と言えば、はるかに明確だ。あるいは「私たちのチームは(S)新しい業務プロセスを導入して(手段)、生産性を(O)向上させます(V)」とすれば、さらに具体的になる。

 この英語的な構造の利点は、「誰が」「何を」「どのように」という要素が明確に示されることにある。文型を意識するだけで、曖昧さが大幅に減り、理解度が向上するのだ

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