“ゆる短文”コミュニケーションしか知らない新入社員、怒る前にやるべきこと「キレイごとナシ」のマネジメント論(4/5 ページ)

» 2025年04月07日 08時00分 公開
[横山信弘ITmedia]

主語がない言葉は誤解のもと

 日本語は主語を省略することが多い。これも混乱を招く大きな原因となっている。「生産性を向上させます」と言われても、誰が向上させるのかが明確でなければ「自分がやるのか」「チームとしてやるのか」「経営陣に要望しているのか」が分からない。

 英語では主語なしの文章は成立しないが、日本語ではむしろ主語を省略するのが自然とされる。しかし、ビジネスの場では「私が生産性を向上させるために、〇〇を実行します」「チーム全体で△△という取り組みを行い、生産性を向上させます」というように、主語を明確にしよう。そうすることで相手に伝わりやすいし、自分の頭の整理にもつながる。

 特に新入社員の言葉がぼんやりと受け取られてしまうのは、「誰がやるのか」が見えにくいことだ。やる気のある人ほど「私が」という表現を明確に使う。だから聞き手も「この人に任せられる」「主体的だな」と理解できる。いっぽう「生産性の向上」「売り上げの増加」と体言止めで言われると、「本人がやるつもりなのか、それともみんなで取り組むということなのか」疑問が生じる。

「体言止め」に対する効果的な質問法

 体言止めの癖が強い人には、どのような質問をすれば効果的だろうか。いくつかの例文を紹介しつつ、説明用使用。次のような問いかけが有効だ。

主語を明確にする質問

 「その○○は、誰が行うことなの?」

 「あなた自身がやるということ? それともチームで?」

動詞を引き出す質問

 「○○するというのは、具体的にどのようなアクションをとるということ?」

 「○○とは、実際に何をすることなのか、具体的に教えて」

目的や方法を聞き出す質問

 「なぜそれをしようと思った?」

 「どのような方法で実現しようと考えているの?」

時間軸を明確にする質問

 「それはいつまでに完了させる予定かな?」

 「スケジュール的にはどう考えているの?」

確認や要約を促す質問

 「今あなたが言ったことを、もう一度自分の言葉でまとめて」

 「つまり、あなたは○○をして、△△を実現したいということで、いい?」

 難しく考える必要はない。質問を通じて、主語や述語、目的語、具体的な根拠、具体的な手段などを明らかにしていけばいい。

 つまり上司は新入社員の曖昧な発言を聞いたら、いったん受け止めること。そして質問をしながら相手の考えを引き出すことだ。そうすれば、新入社員も自分の考えを言語化する練習になる。次第に体言止めの癖も改善されていくだろう。

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