消費税10%時代は終わるのか 減税論が企業戦略に与える波紋スピン経済の歩き方(3/5 ページ)

» 2025年04月16日 10時29分 公開
[窪田順生ITmedia]

消費税の「時限的引き下げ」をしたドイツの事例

 4月4日、衆議院財務金融委員会で財務省が示した所得階層別の税負担率によれば、年収500万円以下の2人以上世帯の消費税負担率は4.6%なので23万円となっている。

 では、年収500万円以下のご家庭の方にお聞きする。自分の年収が変わらない中で、消費税ゼロでこの23万円が懐に転がり込んだとして、いきなりそれで豪遊や高額な買い物をするだろうか。

 恐らく多くの家庭が、アトキンソン氏の言うように、子どもの教育費や住宅ローンなどに備えて貯蓄に回すのではないか。実際、われわれは米が足りないと聞けば、他人の迷惑などお構いなしに「買いだめ」に走っているではないか。

 つまり消費税が減り手取りが増えたとしても、それが「経済の循環」につながるとは期待できないのだ。

経済に不安があるままでは消費につながらない(画像はイメージ)

 という話をすると、「確かに個人の消費は限定的だが、消費税減税をすれば企業の経済活動が活発になって、結果的に消費増につながる。そんなことも分からないのか」というきついお叱りが飛んできそうだが、実はそれが「幻想」であることをドイツが身をもって証明している。

 ドイツは国民民主党が主張している「消費税の時限的引き下げ」を実際にやった。2020年7月1日から12月31日までの半年間、日本の消費税に当たる付加価値税の標準税率を19%から16%、軽減税率も7%から5%へと引き下げた。外食についてはさらに長く2022年末まで減税措置を継続した。

 では、これで経済が循環したのか。分析したところ「効果はほとんどなし」だったという。

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