國枝氏は、先代である父の急病を機に2019年8月によーじやに入社。2020年4月、30歳で5代目社長に就任した。入社後は、「脱観光依存」の方針を掲げた矢先にコロナ禍が到来、売り上げが落ちていった。「この時に脱観光依存が必須だと確信した」と國枝社長は当時を振り返る。
「就任時から最も課題だと感じていたのは、リピーターが少ないこと。コロナ禍以前のインバウンド比率は約4割で、国内のお客様を含めて9割近くを観光客が占めていました。いわゆる一見さんが多く、ファンに支えられているブランドではない。いずれ淘汰されるのではないかという危機感があり、脱観光依存の施策を積極的に進めることにしました」
よーじやといえば、「あぶらとり紙」が広く知られている。さかのぼると、1990年に起こった「あぶらとり紙ブーム」を機に売り上げを伸ばし、観光地に出店を重ねていった。1990年までは2店舗だった直営店が、2000年代半ばには27店舗まで拡大。多くの人がイメージする「あぶらとり紙のよーじや」ができあがった。
しかし、その後はあぶらとり紙のブームが縮小し、需要が低迷していく。
「当然当社の売り上げも下がっていきましたが、社員が危機感を持つほどではありませんでした。だから、会社が成熟期・衰退期に差しかかっているのに、私が就任した2019年まで全く変化してこなかった。世間の当社へのイメージは変わらず、売り上げが伸び悩む状態でした」
リブランディングを発表したのは2025年3月だが、それより5年も前からよーじやの改革は始まっていたわけだ。現在は、スキンケア製品などを扱う「よーじや」を19店舗、スイーツなどを提供する「よーじやカフェ」を2店舗運営しており、あぶらとり紙以外の日常使いできる製品を増やしているという。
ピーク時と比較すると、あぶらとり紙の売上額は4分の1以下に減少している。一方で、「ハンドクリーム」や「リップクリーム」など、その他のスキンケア商品の売り上げが伸長しているそうだ。同社の売上構成比は、カフェも含めた「よーじやブランド事業」が95%以上を占める。
残りの5%未満は「その他の飲食事業」だ。2022年6月には新事業として、十割蕎麦専門店「10そば 京都 御幸町店」を京都市にオープン。2023年11月には、2号店の「大阪 本町店」も構えた。500円〜の低価格帯で提供することで、日常使いを促したい狙いがある。
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