日立製作所は4月24日、企業の実務に必要なノウハウの継承と定着を支援する「ノウハウ視える化・継承ソリューション」の提供を開始した。生成AIによるノウハウの活用により、業務継続性と生産性の向上に貢献する。
近年、多くの企業では、社員の退職や異動によるノウハウ消失により、業務中断というリスクに直面している。特にIT部門では、日々の運用やトラブル対応などの実務ノウハウの中に、マニュアル化された形式知と、メンバーの経験や勘に依存する暗黙知が混在している。人財の流動性が高まる中、ノウハウを組織的に継承し定着させる教育の難しさが課題となっている。
同ソリューションは、日立が製造業で培った技能伝承のノウハウや、人財育成を支援する「プロ人財視える化・育成ソリューション」での可視化手法を活用している。
具体的には、ノウハウを「技術」「業務」「プロセス」「人的コネクション」の4種類に分類。既存の手順書や過去の障害対応記録などの「形式知」を整理する。製造現場の技能伝承に用いられる「多能工化」と「可視化手法」の応用により、社員の経験や勘といった「暗黙知」を把握しドキュメント化する。
可視化されたノウハウは、ダッシュボード画面でノウハウの継承計画から教育、定着度までを確認できるようにした。業務フローにノウハウ管理や継承プロセスを組み込むことで、進捗管理をスムーズに実行できるという。
組織全体で効率的かつ計画的なノウハウの継承を実現。退職や異動による業務の中断リスクを防ぐ。さらに経験値のばらつきも抑えられ、業務の継続性が高まることで、企業競争力強化と安定した組織運営に貢献する。
生成AIによるノウハウの活用やノウハウの定着も支援していく。生成AIがドキュメントから実務ノウハウを抽出し、チャット形式で社員の質問に回答することで実務ノウハウの把握と活用が容易になり、継承スピードが向上する。
さらに、生成AIが自動生成する定着度確認テストを定期的に実施。テスト実施によってノウハウの定着状況を可視化でき、ノウハウの習得度を測れるようにした。これにより、教育負荷の軽減と、定着不足による業務ミスの低減が期待できる。
今後日立は、社員の習熟度に応じた学習カリキュラムの自動生成や、AIによる引き継ぎ、実務ノウハウの形式知化支援などの機能を拡充していく。同ソリューションを多様な企業や職種にも展開。業務の属人化防止や、人財の流動化への対応といった課題解決を支援する。
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