日立製作所は12月16日、小島啓二社長の後任として、現副社長の徳永俊昭氏が着任すると発表した。2025年4月1日付。小島社長は副会長に異動し、東原敏昭会長は留任する。
デジタル・IT部門を率いてきた徳永氏は、同社の“城下町”である茨城県日立市の出身。東京大学工学部を卒業後、1990年に日立に入社し、システムエンジニアとしてIT畑を歩いた。2017年には当時の家電事業会社の社長に就任。2019年に日立の常務、2020年に専務、2021年に副社長に就いていた。
徳永氏は2021年、メディアや株式市場から「高値づかみではないか」といわれた米GlobalLogic(GL)買収を成功させた人物だ。売り上げが1000億円規模だったGLの買収額は1兆円。日立として過去最高の額だった。だが徳永氏は、その後の日立とGLの統合作業(PMI)についても指揮を執り、シナジーを発揮。成長の礎を築いた。
GLという新たな推進エンジンを得た日立は、ITで海外の顧客を得て、グローバル展開を加速。今やGLは、日立のデジタル戦略をけん引する存在となっている。このように徳永氏は、さまざまな場面でリーダーシップを発揮してきた。
2024年5月に開催した日立のデジタルシステム&サービスセクターの国内外の幹部やリーダーが集まる「Global Annual Kickoff Meeting」でプレゼンする日立の徳永俊昭副社長(日立製作所提供)16日に開いた記者会見の中で小島社長は専任理由について「日立も時価総額がよくなってきて『変えていかないといけない』という挑戦心が薄れかねないリスクを持っている。変えることに恐れがなく、強いパッションを持っていること。それが大事だと考えた」と話した。
小島社長のどこを引継ぎ、どこを改善するかと記者に問われると、徳永氏は「どこを改善するかはすぐにお答えできない」とした上で「受け継ぎたいのはキャッシュ重視の経営。資本効率の重視。資本市場との密な会話。そこで生み出されたキャッシュを次の成長に規律をもって投資していきたい。持続可能な成長を形作るために進めていきたい」と抱負を語った。
日立が「1兆円買収」した米ITトップを直撃 日本企業の“根本的課題”とは?
日立の「1兆円買収」が加速させた日本企業のDX 顧客との「真の協創」へ
日立、米IT「1兆円買収」でどう変身? 文化の違いを“シナジー”に変えた手腕
日立の好業績を牽引する“巨大事業”の正体 日立デジタルCEOに聞く
27万人の巨艦・日立はいかにしてDXを成功させたのか “知られざる変革劇”に迫る
松尾豊東大教授が明かす 日本企業が「ChatGPTでDX」すべき理由Copyright © ITmedia, Inc. All Rights Reserved.
Special
PR注目記事ランキング