キムタク、長澤まさみ、横浜流星、羽生結弦――なぜ中国ブランドは国民的スターに頼るのかスピン経済の歩き方(1/5 ページ)

» 2025年04月30日 10時31分 公開
[窪田順生ITmedia]

スピン経済の歩き方:

 日本ではあまり馴染みがないが、海外では政治家や企業が自分に有利な情報操作を行うことを「スピンコントロール」と呼ぶ。企業戦略には実はこの「スピン」という視点が欠かすことができない。

 本連載では、私たちが普段何気なく接している経済情報、企業のプロモーション、PRにいったいどのような狙いがあり、緻密な戦略があるのかという「スピン」をひも解いていきたい。

 木村拓哉、長澤まさみ、横浜流星、そして羽生結弦……この豪華な顔ぶれを見て皆さんは何を思うだろうか。

 「もしかして東野圭吾原作の新作映画の主要キャスト?」と色めき立つ人もいらっしゃるだろうが、そうではない。彼らは中国企業ブランドの「顔」として活躍している方たちだ。

 木村拓哉さんは通信機器で世界トップシェアを誇るファーウェイ(華為技術)の日本法人、ファーウェイ・ジャパンが発売したスマートウォッチ「HUAWEI WATCH GT 5 Pro」のWeb広告に出演。ゴルフ、登山、ランニングと何をしても「格好いいキムタク」のキービジュアルが東京・渋谷駅や家電量販店に並んでいるので、ご覧になった方も多いだろう。

【30秒篇】木村拓哉 × HUAWEI WATCH GT 5 Pro「PLAY IT ALL . 楽しみ尽くせ」(出典:ファーウェイ・ジャパン)

 長澤まさみさんは今や事業規模でテスラを上回り、日本にも高性能な「軽EV」を投入すると話題になっているBYD Auto(比亜迪汽車)の日本法人、BYD Auto JapanのブランドCMに2024年より出演。好感度抜群の人気俳優に「ありかも、BYD!」と微笑みかけられ、「ぜんぜんアリです!」と ハートを射抜かれたおじさんも多いはずだ。

「BYD EV-TECH Lab」篇(出典:BYD Auto Japan)

 そして、2025年のNHK大河ドラマ『べらぼう〜蔦重栄華乃夢噺〜』で主演を務める横浜流星さんは、韓国のサムスン電子に次ぐ世界第2位のテレビメーカー、ハイセンス(海信集団)のブランドアンバサダーを2024年から務めており、さまざまな広告で爽やかな笑顔を見せている。

 フィギュアスケーターの羽生結弦さんは、16年連続で大型家電の世界シェアNo.1を記録しているグローバル家電メーカー・ハイアールと、その傘下ブランド「AQUA」のブランドアンバサダーに2024年から就任し、テレビCMはもちろん、公式Webサイトのトップページにも羽生さんがドーンと大きく登場している。

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