資さんうどんは“一周回って新しい”――? 「ファミレス縮小時代」に、すかいらーくが活路を見出したワケ小売・流通アナリストに聞く(3/3 ページ)

» 2025年05月02日 07時00分 公開
[三好一葉ITmedia]
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すかいらーくの転換点に?

 資さんうどんの買収はすかいらーくHDにとって、2014年の再上場後、初のM&Aとなる。これは単なる業態追加にとどまらず、戦略的な転換点ともいえそうだ。同社は2027年12月期までに、3〜5件のM&A実施を目標に掲げている。

 「ゼンショーHDが“買いまくる”企業であるのに対して、すかいらーくHDはこれまで、M&Aを積極的にはやってこなかった。ガストもジョナサンもバーミヤンも、自社で立ち上げた業態です。しかし、それにも限界が来ているということだと思います。今後もこうした、ローカルチェーンの発掘が進む可能性があります」(中井氏)

photo M&Aの推進に動き出したすかいらーくHD(公式Webサイトより引用)

 資さんうどんはすかいらーくHDにとって、既存不採算店舗の受け皿にもなりうる。2025年に新規出店する21店のうち、12店はガストをはじめとした既存ブランドからの転換だ。「こうした転換は、投資コストを抑えながら新たな客層を取り込む有効な戦略です。客層を見極めた上で出店できるという点も強みになります」と中井氏は指摘する。

photo 2024年の業態転換実績(2024年度すかいらーくHD通期決算説明会資料より引用)

 資さんうどんにとっても、すかいらーくHDの規模は大きなメリットといえる。「大企業グループに入ったことで、原材料の調達コストは下がるはずです。関東にはこれまでなかったチェーン業態ですから、大きな市場の余地もあります。お互いにとって非常にやりやすい環境だと思いますね」(中井氏)

 資さんうどんは現在、関東に4店舗を構えている。すかいらーくHDの金谷実社長は2月の決算発表会で「2025年は足固めの年だが、2026年以降は年間40〜50店舗の出店ができるのでは」と期待を込めた。両社の動向に、引き続き注目が集まりそうだ。

photo 資さんうどんの2025年出店計画(同上)
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