こうしたライズアップの従業員教育には、西尾社長が20代のころに経験した「気付き」が根付いているという。
今からさかのぼること20数年前、西尾社長は大学卒業後しばらくの間酒やギャンブルに明け暮れていたという。当時は「自分さえ良ければいい」という考えにとらわれ、借金を重ね、借金取りが当時の勤務先に来る状況にまで追い込まれた。会社に迷惑をかけてしまうため、働いていたスポーツジムは辞めざるを得なかった。
「人間の姿をしたチンパンジーでした」――西尾社長は身勝手だった当時の自分をこう自嘲する。そんな中、人生が変わるきっかけとなったのは、日雇い労働者として借金返済に奔走していた毎日だ。
西尾社長は借金返済のために、倉庫作業、宅配業、飲食業などの日雇い労働を掛け持ちしながら、「最長60時間」も寝ずに働いたこともあったという。そんな日々を送る中、ある気付きを得た。周りの同僚や利用者のためにとにかく全力で働いていると、最初はからかわれたとしても徐々に社内の人から信頼を得て、必要とされる存在になっていくことだった。こうした経験が、「まず与える存在になる」という従業員への指導方針につながっている。
コロナ禍で観光客が激減した時期を乗り越え、浅草のインバウンド需要は今活況を極めている。ライズアップは、今後は浅草だけでなく近郊の観光地へのサービス展開も視野に入れているという。活気づく観光需要の中、どこまで業容を拡大していくか。
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