コンビニ新トレンド「巨大おにぎり」 背景に物価高による「ワンコインランチ」の消滅? ローソンに好調の理由を聞く(3/3 ページ)

» 2025年05月17日 05時00分 公開
[山口伸ITmedia]
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「弁当」とはカニバらないのか

 大きなおにぎりに話を戻そう。同商品はサイズが大きい分、男性客比率が高まる。一方で、購入の組み合わせは通常品と変わらないという。

 「従来のおにぎりと比較すると、30〜50代男性が増え、男女比率は10%高まる傾向がみられます。組み合わせは従来品と同様、おにぎり2個を購入したり、『からあげクン』などのカウンターフーズと購入したりする方が多いです。男性の中にはパンと買う方もいらっしゃいます」

 大きなおにぎりの鮭とシーチキン、あるいは鮭とからあげクンの組み合わせで500円ほど。カップ麺と合わせれば500円以下に抑えられる。ワンコインが死滅しつつある外食や弁当よりは安い。

 とはいえ、大サイズ品の投入による弁当販売への影響はないという。弁当は「しっかり食べたいニーズ」をつかむ一方、大きなおにぎりは手軽ながらもお腹いっぱいに食べたいニーズに応えた商品であり、それぞれニーズは異なると内田氏は話す。

4月末には混ぜ飯系として「チャーハン」のおにぎりも発売した(同前)

 4月29日には「大きなおにぎり チャーハン」、5月13日には「大きなおにぎり しば漬けしそひじき」を発売した。両者とも海苔がない混ぜ飯タイプだ。以前に発売した混ぜ飯系おにぎりは女性客からの支持が高く、今後も強化する方針だとしている。ファミリーマートでも2025年に海苔なしのおにぎりを強化する方針で、巨大化に加え、混ぜ飯系もコンビニおにぎりのトレンドといえるかもしれない。

 消費支出に占める食費の割合を表すエンゲル係数は近年急上昇している。高度成長期から減少し続け、2000年代のデフレ経済下では25%を下回ったが、2024年は28.0%。1982年以来の水準に戻った。

 外食の価格相場は下がりそうになく、節約志向が続く中で大きなおにぎりは今後も好調に推移しそうだ。おにぎりの巨大化が進むコンビニ業界で、今後どのような新商品が生まれるのか注目したい。

著者プロフィール

山口伸

経済・テクノロジー・不動産分野のライター。企業分析や都市開発の記事を執筆する。取得した資格は簿記、ファイナンシャルプランナー。趣味は経済関係の本や決算書を読むこと。 X:@shin_yamaguchi_


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