――対面と比べるとオンラインでは、相手の表情や雰囲気がつかみにくく、相手に対する親近感も抱きづらいと聞きます。これから関係性を築いていきたい時に、印象アップに効果的な仕草や行動を教えてください
ミラーリング効果という心理学の理論があります。それは、好意を持っている相手の表情や動作を無意識に真似ることで、真似られた方も相手に親しみを覚え、親近感や信頼感が増すというものです。
オンライン会議なら、話している人のリズムに合わせて大きく頷くとか、共感のリアクションを取る。「そうですよね」と相槌を打つことで、ミラーリング効果が期待できます。また、ちょっと前のめりの姿勢を取るのも、相手の話に聞きにいっているように見せるという意味で大切ですよ。
――ミーティング中は、一人一人の顔が画面に等分で映るので、話をしている人はもちろん、聞いている人の表情も案外見られていますよね。
例えばしかめっ面で聞いている方がいると、「面白くないのかな」と不安に思うことがありませんか? 多人数の会議の時、他の作業をやりながら参加されている方もたまにいらっしゃいますが、それは相手を不安にさせると思いますので、あらかじめお断りを入れておくか、いっそのこと画面オフにした方がいいかもしれません。
たとえオンラインでもつながっている以上「公の場」だということを意識し、相手に失礼にならない誠実な行動を心がけることが大事です。
――オンライン会議の“あるある”なのですが、一人の人がダラダラ長く話して、他の方が発言する時間がなくなってしまうことがあります。そういったケースは、印象戦略という意味ではいかがでしょうか?
自分に与えられている時間の配分、求められている立場を理解できてない方なのかもしれませんね。オンラインは特に、コンパクトに要点を押さえた発言を心がけることは、とても大事です。会話がキャッチボールになるよう、自分が発言した後に皆さんにご意見を求めるなどの双方向コミュニケーションがあるとなお良いと思います。
私が考案した〈TPO×PPP=I〉の法則は、こういった場面にも応用できます。TPOは、「T=時間(Time)、P=場所(Place)、O=場面(Occasion)」を表します。PPPは、「P=立場(Position)、P=相手または同行者(People)、P=目的(Purpose)」を示し、それらを掛け合わせて導き出すのが「I=相手が望むあなたの印象(Image)」です。自分の立場や求められている役割を常にわきまえておくことで、イメージダウンは防げると思います。
良い印象は、服装など見た目に気を配ることだけではありません。相手の時間をも尊重し、ご自分のことをわきまえる慎み深い姿こそが、その人の良い印象として残り、コミュニケーションに役立つのです。
乳原佳代。有限会社キャステージ代表。神戸情報大学院大学客員准教授。印象戦略コンサルタントとして、海外要人や国会議員などの著名人の印象分析を手掛け、企業や団体、教育機関を対象にコミュニケーションをテーマとするセミナーやワークショップも多数開催。現在開催中の大阪・関西万博では公人向けのグローバルマナー研修を担当。著書に『学校でも会社でも教えてくれない 見た目の教科書』(ダイヤモンド社刊)がある(写真提供:乳原佳代氏)
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