キリンやアサヒ、自動運転トラックを共同運行 2027年には完全無人運転を目指す

» 2025年06月05日 16時41分 公開
[米倉志保ITmedia]

 自動運転システムの開発を行うT2(東京都千代田区)は6月5日、高速道路において酒類・飲料を自動運転トラックで輸送する実証を開始すると発表した。アサヒロジ、キリングループロジスティクス、サッポログループ物流、サントリーロジスティクスの4社とともに実施する。

左からアサヒロジ社長の児玉徹夫氏、キリングループロジスティクス社長の小林信弥氏、T2CEOの森本成城氏、サッポログループ物流社長の服部祐樹氏、サントリーロジスティクス社長の高橋範州氏(編注:高=はしご高)(出所:編集部撮影、以下同)

 6〜11月に、関東から関西の高速道路の一部区間で計16回(8往復)実施する。今回の実証では、運転を部分自動化し、ドライバーが常に運転状況を監視操作する必要のあるレベル2自動運転で行う。各社各4便、昼間・夜間双方の時間帯で片道8〜9時間走行する。

 「アサヒスーパードライ」「キリン一番搾り生ビール」「サッポロ生ビール黒ラベル」「サントリー クラフトボス ラテ」といった各社製品を積載し、液体物の運送が自動運転に与える影響や、品質管理体制などを検証する。

 キリングループロジスティクス社長の小林信弥氏は「ユーザーとして一番大事なのは商品の品質」だと強調。自動運転による商品へのダメージの有無などを検証していきたいとした。

積載物の一例

 酒類・飲料業界は、他の業界と比べて輸送量やトラックの運行数が多い(国交省調べ)。特に需要が高まる季節はドライバーの確保が困難になる可能性があるという。

 アサヒロジ社長の児玉徹夫氏は「われわれがこれまで培ったビールや飲料に関する知見を活用して業界全体で協力し、自動運転の本格稼働への取り組みを推進していきたい」とした。

 T2は、自動運転システムの開発だけでなく、運送会社や荷主の集約拠点間の運送事業を展開する。高速道路の出入り口に自動運転と有人輸送を切り替える拠点を設置する。

 7月からはレベル2自動運転トラックを用いた輸送事業を開始し、2027年にはドライバーの乗車が不要のレベル4自動運転の導入を目指す。輸送エリアを順次拡大し、中四国、九州などの長距離での自動運転輸送のニーズにも対応する。2032年には2000台規模での輸送を見込む。

実証に使用する10トントラック

 レベル4自動運転が実現すると、1日最大15時間と定められているドライバーの拘束時間と無関係に運行が可能になる。そのため、関東・関西間で1人当たり1日1運行(片道)が限界だった現状と比べて、輸送能力を2倍(往復)に高められるという。

 T2のCEOである森本成城氏は「安心感を得るためにも、2年間で(今回の実証の)データを世の中に開示していき、レベル4にスムーズにつないでいきたい」と意気込んだ。

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