まさかの「備蓄米ブーム」到来…… 米の価格は下落するのか? 各社の「仕入れ量」「取り組み」総まとめ(4/4 ページ)

» 2025年06月07日 05時00分 公開
[山口伸ITmedia]
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備蓄米ブームはどこまで続く

 安い備蓄米の放出によって、コメ価格が下落するという憶測が出ている。しかし随意契約による備蓄米の供給は始まったばかりであり、影響は判断できない。スーパーにおける米5キロ当たりの平均価格は直近で少し安くなったが、劇的な変化はない。

 とはいえ政府は7月まで備蓄米を放出するとしており、追加の随意契約で値下がりする可能性はある。夏以降になれば2025年産米が市場に出るため、問屋が貯めこんでいた分が安く市場に出回るかもしれない。

 米価格が高騰した要因は、好調な外食産業による需要増加、燃料費・人件費などコストの上昇などさまざまだ。インバウンドの増加を要因とする意見もある。

 巨視的に見れば、減反政策に伴う生産量の低下が今回の騒動を招いた主要因である。農家に補助金を供給する形での減反政策は2018年に終了したが、その後も飼料米への転作に補助金を出すなど、事実上の減反が続いた。若年層の参入が起きず高齢化が進み、高齢化した農家の引退も相次ぐ。こうしたことが影響して米の生産量は近年でも減少を続けており、2018年産の約778万トンに対し、直近の3年間は720万トン前後しかない。

 政治的に補助金政策の廃止や、増産などの政策は難しく、今後も需給がひっ迫すると見られる。備蓄米ブームはしばらく続くかもしれない。

著者プロフィール

山口伸

経済・テクノロジー・不動産分野のライター。企業分析や都市開発の記事を執筆する。取得した資格は簿記、ファイナンシャルプランナー。趣味は経済関係の本や決算書を読むこと。 X:@shin_yamaguchi_


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