CxO Insights

Airbnb、新たな宿泊体験「Akiya Design Project」発表 日本の空き家を活用

» 2025年06月10日 05時00分 公開
[小松恋ITmedia]

 宿泊施設仲介サイトAirbnbの日本法人Airbnb Japanは、古民家などの伝統的な家屋を再生して宿泊施設として利活用する「Akiya Design Project」を発表した。空き家問題の対策や地域創生を通して、観光の分散化に貢献する。

特別な宿泊体験を提供する「Akiya Design Project」(以下プレスリリースより)

Airbnbの古民家活用 特色は?

 総務省統計局が発表した「令和5年住宅・土地統計調査」によると、現在日本には約900万戸の空き家が存在し、今後10年以内には3軒に1軒が空き家になると予測されている。そこでAirbnbは、これまでも連携を続けてきた全国古民家再生協会の協力のもと、同プロジェクトを立ち上げた。

 Airbnbの共同創業者兼CEOであるブライアン・チェスキー氏は6月3日に都内で開催したプレス発表会で、Akiya Design Projectの意義は2つあると説明した。1つは「使われていない家や部屋を有効活用できる」ことだ。「日本には900万戸の空き家があり、部屋を提供したいと考えている方々と世界中の旅行者で宿泊先を探している方々をより良い形でつなげられると考えている」と話す。

 2つ目は「デザインや文化の力」だと語り「空間に新たな息吹を吹き込むような、素晴らしいデザイナーや素晴らしいビジョンを持った方々とご一緒させてもらえたら、記憶に残るような体験を提供できると思った」と語った。

Airbnbの共同創業者兼CEOであるブライアン・チェスキー氏

 同プロジェクトでは、デザインとサステナビリティに関心の高い起業家でもある女優の水原希子さんと、タレントのローラさんがクリエイティブ監修を担当している。2人のアイデアを2軒の元空き家だった古民家のインテリアやスタイリングに反映。その古民家をAirbnbで宿泊できるようにするという。

クリエイティブ監修を担当する水原さんとローラさん

 水原さんがパートナーを組む茨城県古河市の山中美登樹さんが運営する宿泊施設は、築150年以上の伝統的古民家だ。約10ヘクタールにも及ぶ広大な敷地に立ち、趣ある母屋や門構え、敷地を彩る桜や草花が彩る。

 現代の住宅では取り入れることが難しくなった質の高い建材が使われていて、古民家としてだけではなく、地域の資産として若い世代に受け継ぐべきと考えられているという。

茨城県古河市の山中美登樹さんが運営する宿泊施設

 もう一方の、ローラさんがパートナーを組む京都府亀岡市の村田麻実さんの宿泊施設は、もともと村田さんの祖父母が住む家屋で、明治から平成にかけて130年にわたり瓦業を営む仕事場として使われていた築70年の建物だ。

 瓦業の歴史を感じさせる建物は、当時の姿をできる限りそのまま残しながら手入れがされていて、日本家屋らしい伝統的な佇まいや美しく広がる田園の眺めが特長だ。どちらの宿泊施設も、2025年秋に予約可能になる予定だという。

京都府亀岡市の村田麻実さんの宿泊施設

 チェスキー氏は、日本のビジネスの状況や今後の展望について「私たちは、日本ではまだまだこれからのビジネスではあるものの、世界で最も伸びている市場でもある」と国内での大きな可能性を示唆した。「地域の方々や自治体とも調和をとりながら、日本ならではの最も素晴らしいレベルのサービスやおもてなしを提供していく」(チェスキー氏)

 Airbnbは同プロジェクトを通じて、歴史的価値のある古民家を世界中の新しい世代の旅行者に紹介することを目指す。

クリエイティブ監修を担当しているタレントのローラさん

Copyright © ITmedia, Inc. All Rights Reserved.

アイティメディアからのお知らせ