次に、この興収を興行会社(映画館)と配給会社とで分けるのですが、興行会社側が一定の配分を除いて配給会社に支払う料金を“映画料”、その総計額を配給収入(配収)と呼んでいます。邦画は、配収から一定割合の配給手数料と宣伝費を含む配給経費などを除いた残りを製作会社(製作委員会)に戻します。
洋画は、海外の製作会社(権利元)に買付け料をすでに支払っていますので、経費を除いた配収が配給会社の収入となります。
ちなみに、映画料は勝手に割り引いてはいけません。劇場独自のサービス(会員特典など)で割り引いた分は興行会社が、宣伝促進や動員増を狙って割り引いた分は配給会社が負担、つまり配収から差し引かれることになります。
その割合(配分)は平均的には半々ですが、劇場によっては55%:配給会社45%というケース(もしくは6:4)もあります。配給手数料は10〜30%と、興行会社、配給会社、作品によってケース・バイ・ケースです。
ちなみに、TOHOシネマズが2023年6月に映画鑑賞料金を改定してから、一般は2000円、シニアは1300円、レイトショーは1500円、ファーストデイは1300円となり(大学・高校・中学・小学生・幼児、障がい者割引の料金は改定なし)、各社割引料金など多少の違いはありますが、他の興行会社もほぼ同額にそろえられました。
映画ジャーナリスト、プロデューサー
1974年東京生まれ。1997年に文化通信社に入社し、映画業界紙の記者として17年間、取材を重ね、記事を執筆。邦画と洋画、メジャーとインディーズなどの社長や役員、製作プロデューサー、宣伝・営業部、さらに業界団体などに取材し、映画業界の表と裏を見てきた。現在は映画の情報サイト「映画.com」の記者のひとりとして、ニュースや映画評論などを発信するとともに、映画のプロデュースも手掛ける。プロデュース作品に『死んだ目をした少年』『ポエトリーエンジェル』『踊ってミタ』などがある。田辺・弁慶映画祭の特別審査員、京都映画企画市の審査員も務める。
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