サイゼリヤのコスト削減は、調達にとどまりません。店舗での調理工程も徹底的に効率化されています。
象徴的なのは、「厨房に包丁がない」という事実です。サイゼリヤでは、工場で下処理された食材を店舗で加熱・盛り付けするだけで料理が完成する仕組みを導入しています。誰が作っても均一な品質と味が提供できるように設計されており、調理スキルに依存しない体制を整えることで、人材育成コストの削減にもつながっています。
このような“工場化”を支えるのが、同社独自の「科学的経営」です。例えば厨房の設計では、どの位置に誰が立ち、どのタイミングで何をすれば最も早く料理が提供できるかを細かく検証。サラダ1つとっても、オーダーから提供までの時間を短縮できるよう、調理場の動線やレイアウトを科学的に分析し、日々改善を重ねています。
また、千葉や福島には契約農場を持ち、例えばレタスであれば、1株から何枚の葉が取れるか、そこから何人前のサラダが作れるかまで計算しています。このように、いかに効率良く提供できるかを研究することで、提供スピードとコストの最適化を同時に実現しているのです。
こうした一連の取り組みにより、サイゼリヤは全国どの店舗でも、品質のブレがなく、スピーディーに料理を提供できる体制を築きました。創業期から続く調達・製造・提供の一貫した効率化こそが、同社が長きにわたって「低価格でおいしい」を実現してきた原動力であると言えるでしょう。
丸亀製麺は“讃岐うどん”の看板を下ろしたほうがいい、これだけの理由
「JALとANA」どこで違いが生まれたのか? コロナ禍を乗り越えた空の現在地
「牛丼500円時代」の幕開け なぜ吉野家は減速し、すき家が独走したのか
なぜ「金の卵」を守れなかったのか 東芝と日立、明暗を分けた企業統治のあり方
ニトリはなぜ「就職ランキング」で1位なのか 見落としてはいけない“会社の数字”Copyright © ITmedia, Inc. All Rights Reserved.
Special
PR注目記事ランキング