サイゼの「300円ドリア」はいつまで続く? “デフレの申し子”が直面する試練と選択(4/7 ページ)

» 2025年06月27日 09時03分 公開
[草刈貴弘ITmedia]

日本国内とアジア諸国、対照的な収益構造

 こうした企業努力により、徹底したコスト削減と収益化を実現したサイゼリヤ。その売り上げはコロナ禍を経て回復基調にあり、日本国内も含めて全体としては着実に成長を続けています。

 アジア市場では力強い伸びが見られ、高成長を維持しています。特に、中国市場は近年、アジアセグメントに統合されたため単独での数字は把握しづらいものの、堅調に売り上げを増加させています。

 しかし、セグメント利益率に着目すると、違った景色が見えてきます。日本では2013年まで7%程度あった営業利益率が、2014年以降は5%を下回り、2024年8月期も低水準のままです。売り上げは伸びていても利益が減っているという状況が続いており、コロナ禍では赤字を計上した年もありました。

筆者作成(以下、同)

 これに対し、アジア市場では好調な利益率を維持しており、直近では14%という高水準となっています。また、過去を振り返ってみても10%以上を維持しており、サイゼリヤ全体の収益性を大きく押し上げています。

 このアジア市場での高収益が一時的な要因ではないことも重要です。サイゼリヤはアジアにおいても工場や店舗への資本投下を積極的に行っており、償却費を含んだうえでの高利益率となっています。

 つまり、投資を継続しながらも高収益を維持できていることから、事業としての持続的な競争力があると言えるのです。

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