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「聴く力」がないリーダーたち 部下に話が伝わらない原因は?(3/4 ページ)

» 2025年06月27日 07時00分 公開

解釈のズレを知るために、個々人の「ストーリー」を聴く

 ここまでコミュニケーションにおける「傾聴」の大切さについて、お話ししてきましたが、「そうは言っても、何を聞けばいいのか」と思う方もいるでしょう。

 先ほど、ビジネスにおけるコミュニケーションでは「背景」「考え」「目的」 の理解が大切だと書きましたが、傾聴においては、この3つの要素をていねいに聞くことが大切です。なぜなら、メンバー間で同じ「事実」を見ているのに、話が噛み合わないということが往々にして起こるためです。

 一体どういうことなのか、一例を説明します。目の前に水の入ったコップがあったとしましょう。それを見た3人のリアクションはこうでした。

1人目:「まだ水は半分ありますね!」

2人目:「もう半分しかないのですね」

3人目:「お酒が飲みたいのに、水しかないのですね……」

 「水の入ったコップが目の前にある」という事実は同じであるにもかかわらず、解釈や感想が異なっています。

kiku 事実は同じでも、人によって解釈や感想が異なる

 事実は同じでも、各人が置かれている状況や、過去の経験といった「フィルター」を通ることで、認識が変わってくるのです。分かりやすいよう、それぞれが抱く認識をここでは「現実」と呼ぶことにします。多くの人々は、その「現実」を自身の「事実」として捉える傾向があります。

事実:実際にそうであること。変わらない事実。

現実:観察者の主観に基づいて認識される事実だと思われること。観察者の主観で変化する可能性がある。

 この例では、具体的な事実であるコップの水が目の前にあるため、認識のズレをコミュニケーションで修正することはたやすいでしょう。しかし、会議などの現実の会話ではそうしたことは少なく、それぞれの頭の中で認識が進んでいくため、修正がとても難しい。だからこそ、各人が持つ「背景」や「目的」といったストーリーを聴く必要があるのです。

 人によって「現実」は異なるという意識を持ちながら、事実情報の把握を行い、自分の「現実」と相手の「現実」のズレを共有し、それ自身に好奇心を持ち、共感することが大切です。

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