老舗薬局の社長が「ヒーロー」に、社内の反対押し切りなぜ? 40倍リターンを生んだ「オーガマン」誕生秘話(1/3 ページ)

» 2025年06月27日 08時00分 公開
[大久保崇ITmedia]

 「薬飲んで、寝ろ。」

 一度聞いたら忘れられない、少しぶっきらぼうなセリフ。これは、福岡県を中心に121店舗を展開する老舗・大賀薬局(福岡市)が生んだ薬剤師ヒーロー「薬剤戦師オーガマン」の決めゼリフだ。

 そしてこのヒーローに変身するのは、同社の社長、大賀崇浩氏その人だ。

 オーガマン誕生以降、同社の売り上げは年率約10%のペースで成長しているという。なぜ大賀社長は、自らヒーローになる道を選んだのか。

薬剤戦士 オーガマン(出所:公式Webサイト)

「大企業病」脱却目指して

 福岡・九州地方に集中して調剤薬局やドラッグストアなど121店舗を展開し、在宅医療からオリジナル商品の開発まで手掛ける大賀薬局。ドラッグストア業態を西日本で初めて開業するなど、本来は挑戦心旺盛な企業だったという。

 しかし大賀社長が父(現会長)の後を継ぐため当時勤めていた商社を退職し、家業へ戻った2008年当時、社内の空気はいわゆる「大企業病」がはびこっていたという。

 「地域のリーダーとしての自負からか、取引先に対して少し上から目線な組織になっていました。全国チェーンが九州に進出してきても、『お手並み拝見だ』とばかりに静観し、危機感を持って迎え打つという姿勢ではありませんでした」(大賀社長)。

 実際に業績は徐々に厳しくなっており、ドラッグストア事業のみで見ると利益は赤字だったという。「もしこのまま何もしなければ、どこかに事業譲渡して終わり。それくらいギリギリのタイミングでした」と大賀社長は当時を振り返る。

大賀薬局 代表取締役社長 大賀崇浩氏(提供:大賀薬局、以下同)
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